演 目
もっともったいぶって
劇団名/AND
シアターZOO演劇祭(ズーエイト)参加作品
脚本・演出/山田マサル 照明/上村範康 音響/奥山奈々
舞台監督/亀井健 
制作部/亀井健・小原綾子・竹野内なつみ
劇場名/シアターZOO

極端に戯画化された現実

 冷酷非情の金貸しであり、振り込め詐欺の大元であり麻薬の密売人であり、わけの分らん政治家(=ツルオカ)の息子でもあるという典型的な悪の男(=亀井健)を中心に、その被害者や取り巻き連中の物語。
彼の被害者でもある胡散臭い集団の女たちや、麻薬に溺れる警官やら、給付金詐欺を企む障害者の親子(=江田由紀浩・マイケル小野)など、現在現実の断面が極端に戯画化されて描かれる。
特に狂的な暴力と性の表現が、きわどく誇張されて描かれているのが特徴的だ。たとえば拘束された女は脚にチエーンを巻かれて逃れられないようにされている。
セックスの描写も派手で直接的であり、それらの描写は、現実の危うさを映し出しているといえるのではないか。
「もっともったいぶって」というタイトルは、自分の存在をもっと大事にしなさいというメッセージであろうか? 最初にこのタイトルを見たとき「もっともっとぶって(打って)」と読んで、自虐的な内容を想像してしまったのだが、逆に考えると、こういう現実を自虐をも含めて象徴していたのかも知れない。
その他の出演者。小林尚史・八戸卓哉・三浦徹也・
岡村智明・植松尚規・佐藤雄紀・吉田菜穂子・富樫真衣・矢野杏子。







■■8月の推薦舞台■■

三月の5日間……チェルフィッチュ
画期的な前衛劇として得ていた予備知識を完全にひっくり返した。その第一は、すべての展開が当事者の演技ではなく第三者の供述によって語られたことであった。だからそれは真偽が隠されているという読み方もできるのだ。

わらう花……劇団怪獣無法地帯+3ペェ団札幌

もっともったいぶって……AND
この二編は、いわゆる小劇団であって実力のある集団として関心を持っていたが、中々今一歩というところで留まっていた。今回その力を充分に見せてくれたことを痛快に思った。