演 目
Pain
観劇日時/08.8.25.
劇団名/秦組
公演回数/旗揚げ公演
作・演出/秦建日子
舞台監督/小坂逸 演出助手/飯田和広・弥野由布子
照明/島田昌明 音響/TAISHI
振付/加藤清恵・新井みずか 
制作/羽座和歌子・竹村千穂・島田友美子
劇場名/(東京・下北沢)劇「小劇場」

野望と家族と

 写真家として成り上がった男(=納谷真大)は、母親が認知症(?)らしく、隠して苦しんでいるらしいが粗末にしているわけでもない。この二つの並行する物語が初めはそれぞれに全く関係ないように進んでいく。特に母親の話が抽象的な表現なので、すんなりとは判りずらい。
写真家は、弟子(=川野直輝)の出世に取って代わるように没落する。この辺りの表現は、群舞と絶叫調の台詞で激しく展開するが、その分だけ大味な表現に成らざるを得ない。
ラストに近くなって、没落した写真家と母親の二つの物語が一つに纏まるが、予定調和で、ありがちな物語になってしまった。
Painとは「痛い」ということだろうが、この芝居の登場人物たちは、皆な痛みを持っているということであろうか?
下北沢の小劇場の狭い舞台に、23人もの多数の登場人物が暴れまわるのは壮観だが、このところ納谷真大の役柄が大車輪のキャラクターばかりなので、違う一面が観たかった。騒々しさと判り難さとが同居する充ち足りない観劇感が残った。
この写真家を操るプロデユーサーが、裏表のある役柄を巧く表して典型的といえばその通りだが、この中ではとりわけ印象的であった。
その他の出演者 渡邉紘平・築山万有美・佐藤寛子・
工藤里紗・滝佳保子・松下修・新井みずか・
井筒大介・小坂逸・藤岡麻美・青木愛・新保竜也・
北村智晃・徳城慶太・吉川麻美・斎藤じゅん・
長塚全・翠川ゆき・足木俊介・山岸史卓・
小林寿美子
徳永笑美里・沖本健吾