演 目
鳥瞰図

観劇日時/08.6.12.
劇団名/新国立劇場 企画・制作
上演回数/シリーズ同時代 vol,1
作/早船聡 演出/松本祐子 美術/島次郎
照明/小笠原純 音響/藤田赤目 衣装/前田文子
ヘアメイク/鎌田直樹 演出助手/宮越洋子
舞台監督/加藤高 芸術監督/鵜山仁
劇場名/新国立劇場・小劇場

上品な家庭喜劇

 東京湾沿岸にある老舗の釣り船宿。女主人(=渡辺美佐子)と長男の社長(=浅野和之)、二人は埋め立てで寂れた商売を何とか守っている。そこへ、二人にとっては訳ありの孫娘であり姪であるミオ(=野村佑香)が転がり込んでくる。
彼らの確執とその船宿に集まる客たち、家庭内別居のサラリーマン・杉田(=八十田勇一)、夫と長い別居中のカーディラー・朝子(=弘中麻紀)とその弟・旅行代理店勤務の照之(=浅野雅博)、船頭の資格を目指すアルバイトの勇太(=佐藤銀平)、そして元・海の男の老人・峰島(=品川徹)の物語。
それぞれの愛憎と、峰島の死によって焙りだされるそれぞれの身内の人達の死への複雑な思い……ちっちゃな生活の中の人たちの様々なリアリティある現実の断面を克明に描写したハッピィエンドな抒情劇であった。
それらを冷静に客観視する装置としての鳥瞰図の視点が、逆に暖かく感じられる。