演 目
永 遠
観劇日時/08.5.18.
劇団名/実験演劇集団 風蝕異人街
公演回数/第32回公演
作・岸田理生 構成・演出/こしば きこう
劇場名/シアターZOO

郷愁さえ感じる吸血物語

 オドロオドロしいレトロな世界。例えば大正とか昭和初期とかの時代の日本の田舎の風景……そこでは生きていること自体が不思議な世界……であるのか? なのに郷愁を感じるのは何故なのか?
腰を落とし足を擦って歩くのは、鈴木忠志が唱えた日本農民の土地を意識した歩き方であるから、そこに郷愁を感じるのか?
構成・演出のこしば氏がパンフレットに書いた文によると、「……日本の吸血物語は、実は、女が春を売る娼婦たちの哀しい物語なのである。男たちの血を吸うということは男たちに春を売ることであり、男たちのいないときは女たちがお互いの血を吸い、慰め合うという閉鎖された村でのおぞましい女の情念の物語なのである。」とある。
女たちがお互いの血を吸うということは、女たちがお互いに競争したり傷つけ合ったりしているということなのか?
13人という大人数の登場人物が、互いに葛藤をするというよりは、それぞれが勝手に自分の心境を語っているという印象が強い。
心情の闇の中で、カメラマニアの少年が舞い込んで、そこに一枚のネガに残された女がいた。という設定はよく判らないメタフアーである。
それにしても、良く判らないのに、様々な不思議な魅力に誘われて、この集団の舞台を観続けている。