演 目
空想科学技術専門学校  ……ぼくらはみんな、科学の子!
観劇日時/08.5.17.
劇団名/劇団 怪獣無法地帯
公演回数/第7回
作/伊藤樹 演出/伊藤しょうこ 照明/大橋はるな
音楽/ラバ(segyar/三島祐樹)
音響操作/小林花絵 衣装/長谷川碧 装置/濱道俊介
制作/要害里奈・山本清美・荻田美春
劇場名/ことにパトス

青春友情物語

 架空の科学技術専門学校の卒業式。開式前の学生食堂。集まった学生たちは、式の前に行われる卒業試験の傾向と対策に集中している。学生たちはどこからか攻撃してくる外敵を、どう排除するかという問題に対する、「戦略」と「技術」と「実戦」との三科に分かれている。
彼らは青年らしい正義感と友情と、いわば楽しい青春を謳歌しているように見える。もちろん将来に対する不安もある。そういう意味では一種の青春物語であろう
突然、緊急放送が流れ、不審な攻撃者の侵攻が伝えられる。彼らは一致協力して、対応する。それが実は卒業試験であったというのだった。
余りにも呆気なく深さも感じられない。この集団には二つの系統があって、その一つは、棚田満のナンセンスで恍けた表現をもった突拍子もない展開の中に毒気を感じさせ、痛快なカタルシスをもたらすラストを特徴とする。
一方伊藤樹は、何気ない日常のユーモラスな描写から人生の根幹を引き摺り出すような真実味が特徴だ。
今回のタイトルと題材は、むしろ棚田満の分野だと思って、それを伊藤樹がどんな展開にするのかという興味と関心が大きな期待を持ったのだが、中途半端に終わってしまった。
何かないかと一所懸命に探したのだが見つからない。僕の大好きな劇団だ。僕が大事な何かを見落としたんじゃないかと気が気じゃない。
出演は重堂元樹・渡邉ヨシヒロ・三戸部大峰・梅津学・
長岡登美子・吉江和子・新井田琴江・濱道俊介・長谷川碧・忠海勇・棚田満・伊東真澄・長流三平・泉清高・坂本大祐。
これだけの錚々たるメンバーを集めながら、他愛のない青春友情物語でしかなかったことに無力感を感じてならないのだった。