演 目
Double Initiative  ダブルイニシアチブ
〜二人の物語〜

観劇日時/08.4.20.
劇団名/演劇集合体マキニュウム
公演回数/てくてく公演Vol.4 
作・演出/槙文彦 音響効果/中井孝太郎 照明/長流3平 舞台/有田桐 衣装・メイク/尾方聖恵
小道具/氏家瑤子・徳田七絵 演出助手/藤井勝
舞台監督/有田桐 制作/金子綾香・三浦めぐみ
劇場名/レッドベリースタジオ

孤独な若者たちの喪失感

 男女二人の四組のペアが演じる四つの短編物語である。

『10月の風』
突然訪れた見知らぬ美女に、戸惑いながら応対し、次第に惹かれていく一人暮らしの若い男。その後再訪を約しながら、ノックの音だけで、姿は見えなかった。
少しずつ焦る男。未練が強くなったある夜、やっと彼女は姿を見せるが一瞬に影も形も無い。男には見えないが観客には見える。
美女は10月の風の精であった。孤独と喪失感のやるせなさ……だがこの風の精は生臭く透明感が希薄であり、発声が鮮明ではないので、童話的雰囲気が感じられなかった。
出演、藤井勝・徳田七絵。

『夏の祭り』
祭りの時期だけ現れる、事故で亡くなった姉の亡霊。弟の、自堕落で冴えない人生に活を入れたり心配したりする姉だが、弟は頼りにしつつ面倒でもある。あの世とこの世では、どうすることも出来ない二人。出演、菅野恭介・金子綾香。

『夢幻』
自由に生きるために会社を辞めた恋人の二人。女は三週間を寝て過ごす。二人は寝言で本音を言い合うが、やがて男は焦慮する。
ある日、女は突然パソコンを買ってきて起業すると宣言する。半信半疑の男も、やっとパソコンの箱の蓋を開けようとする。出演は、瀬川圭介・金子綾香。

『レイン』
雨の街頭で始めて出会った若い男と女。何となく酒場へ赴く。二人とも暗い影を背負っているらしい。
酔って去る男。気分が悪くなって道端にしゃがみ込む女。道を間違えて戻ってくる男。拒否する女。帰ろうとする男、振り返る女、女は抱きつき男は抱き返す。
出演、有田桐・三浦めぐみ。

孤独と喪失感で共通する四組の若者たちの風景である。