演 目
フルーツポンチどんぶり大往生 
観劇日時/08.3.2.
劇団名/ディバレー・ダイバーズ
公演回数/第一回公演
脚本/深浦佑太 演出/谷原聖 照明/渡辺真由子 
音響/若林宗由 制作/五十嵐玲美・浅賀翔太郎
劇場/マルチスペースF(中島公園に近い雑居ビルの一室)

生活感のない青春像

 生活感のない学生たち。アニメ映像の中にだけ愛欲を感じる男・タクオ(=深浦佑太)、だが彼に思いを寄せる彼女・ネネ(=吉田美穂)がいる。彼も決して彼女を避けているわけじゃない。両方をうまく操縦したいだけなのだ。都合のいい男の論理だ。
彼女・ネネのことを真剣に心配するが、本心を言いだせない純情男・ヘイスケ(=荒川創)。それを知っていながら友情として利用するネネ。
オタク男・タクオを何とか自分たちの陣営へ引き込もうとするオタクの男女・モリゾウとキキ(=北山光次朗・篠田なつみ)。映像の中のキャラクターたち・キック・ミドル(=武田のぞみ)とパンチ・ジャブ(=中村麻衣子)。
これらが入り乱れて大混乱を起こす。所詮コップの中の嵐で、二次元世界に囚われた人間たちの物語が、現代の若者たちの意識の実感としてよく分かるような感じだ。
生活感のないわりにはリアリティがあるのは、演技に嘘が感じられないからであろうか? 確かにスピードのある台詞と切れの良い動きで飽きさせずに一気に魅せる力が心地よい。オーバーアクションも彼らの日常かなという気がさえする。
『フルーツポンチどんぶり大往生』というタイトルには何の意味があるのか、イヤ何の意味もない無責任な出たとこ勝負みたいな面白さにも、若い人の意識を垣間見る。