演 目
捨てられた人形の詩
観劇日時/08.2.23.
劇団名/拓大ミユージカル
公演回数/第24回
脚本・作曲/土門裕之 スタッフ・キャストはすべて学生の総勢108人
主催/北海道拓殖短期大学
劇場/深川市「み☆らい」

学生たちの顔が見えたか

 これは地元の作品だから、僕はほとんど観て何とか演劇としての鑑賞に堪えうるものであって欲しいと思っていた。
だが大学としては、教育の一環であり、目的は「教育の原点は感動の共有である」という立場で創っていたので、その内容は幼稚なものであり、何よりも当事者の学生たちの思いや声が聞こえないことに不満があった。今年は、やっと参加した学生たちの顔が見える舞台だったような気がする。
それは「不要とされた人格を持つアンドロイドたちが、自分たちの存在意義を見つけていく」というストーリィが、よくあるテーマだが、分りやすく共感し易いからであろうか? 無理に歌やダンスを使わなかったことも自然な表現であったと思われる。
この物語構成に学生たちが、どれだけ直接的に参加したのかは分らないけれども、観ている観客には彼らの意識がストレートに伝わったとは思えるのだ。
ただし問題はある。なぜアンドロイドとかタイムワープとか宇宙トラベルとかのモチーフを使うのだろうか? もっと身近な題材はないのだろうか? と思うと思いも複雑だ。
特にアンドロイドが人格を持つというモチーフは重要でありそのテーマだけでも様々な作品がすでにある。
おそらく彼らにとっては、それほど現実味のない設定ではないのかも知れないし、第一様々な機器や特に衣装などは非日常性が豊かで、それを楽しむというメリットもあるのかも知れないと好意的に了解しようと思う。
ラストシーンは異星でのお祭りというこれまた身近な設定だが、これが意外に面白かった。このラストに賑やかなフエステバルを作るのは恒例だが、今年は中々高度な技術を若さで見せた。
マッスルミユージカルのような、体技やジャグジーなどを長時間に亙って魅せて、これだけを独立させてもっと長くやった方が魅力的なんではないか? とさえ思ったほどであった。