演 目
ループ・テープ
(モチーフ曲 中島みゆき「永遠の嘘をついてくれ」)
観劇日時/07.12.1
劇団名/yhs
遊戯祭参加
作・演出/南参 照明/相馬寛之 音響/橋本一生
舞台美術/吉竹歩・ミヤザキカズヒサ・三戸部大峰
小道具/井上亮介・青木玖璃子・伊藤誘季子
衣装・メイク/水上佳奈・岩渕カヲリ・東菜穂・小助川小助
制作/小森まりも・長岡登美子・小原あると・福地美乃・十日市恵子
WEB/イシハラノリアキ・小林エレキ
出演 青木玖璃子 東菜緒 岩淵カヲリ 小林なるみ イシハラノリアキ 小林エレキ
劇場/ことにパトス

最も中島みゆき的

 作者は「もっとも中島みゆきから遠い作風だと思われていますが(というか自分でも思ってましたが)」とコメントしているが、全4曲の中では一番、近いような気がする、というか一番、中島みゆきの心情に近いような気がする。
幹線鉄道にある急行列車が止まらない小さな駅。誰かを待つ女が二人(=十日市恵子・三宅亜矢)、そこへもう一人の女(=岩渕カヲリ)が同じ目的で来る。
三人は同級生で同じ男から同じ手紙を受け取ったのだ。さらにもう一人、今度は高校時代に教育実習生としてこのクラスを担当したかつての先生(=小林なるみ)もまったく同じ事情と同じ目的でやって来る。
駅員(=小林エレキ)との滑稽なやり取りの中、男の妹(=青木玖璃子)が来る。彼女は事情を知って、女性関係の乱れと金銭に乱脈な兄を心配し、四人の女たちを思い止どまらせようとする。
思い止どまらない女四人。もう一人の女(=東菜穂)が来る。彼女は今、その男と同棲しているのだ。彼女もここで待つように言われていた。
こんな混乱した、男に都合の良い話ってあるか! と突っ込みをいれたくなるが、これが中島みゆきの心情だと同行の若い人が言った。まさに『永遠の嘘をついてくれ』というのが、この女5人の願いなんだろう。
やっと男の友人(=イシハラノリアキ)が来る。彼は男の依頼により、彼のコメントを録音したテープを持って来たのだ。何処で何をしているのか? 女6人で聞く彼の遺言? か……
そのテープは自分勝手ではあるが、そのことを業としての逃れられない告白でもあり、そしてそれはエンドレスにループされたテープであった……
朝日新聞08年1月25日「北のことば抄」(我孫子晴美)
『(中島みゆきの歌詞は)恨み言めいているが力強く、妙に心に残る。つまり「痛いところをついてくる」のだ。心に湧き上がるはするが口には出せず、胸の裏にしまいこんだ言葉が歌詞となって息を吹き返す。たとえば、別れのときの言葉など』
という解説が今にして納得できるようだ。