死ぬ気で遊ぶ『中島みゆき論』
 琴似の小劇場「コンカリーニョ」と「パトス」を使って競演する『遊戯祭』というものが第二回を迎えた。主催はNPO法人コンカリーニョである。
去年の「近松門左衛門」に続き今年は「中島みゆき」がテーマである。四つの劇団が参加してそれぞれが中島みゆきの曲の中から自由に選んで、その曲をテーマにオリジナルの脚本を書き上演した。審査員による審査もあったが、観客の好みとは必ずしも一致はしない。それぞれの人がそれぞれの作品を評するのが面白い。
僕は年代的に中島みゆきをほとんど知らない。選曲された4曲をCDに収めてもらって何度か聞いてから、12月1日、「コンカリーニョ」と「パトス」を行ったり来たりして、一挙に4作品を観た。


演 目
帰れないものたち
(モチーフ曲 中島みゆき「南三条」)
観劇日時/07.12.1
劇団名/ff男盛りレコーズ
遊戯祭参加
作・演出/岩尾亮 照明/清水洋和 音響/丹治誉喬 
舞台美術/ff男盛りレコーズ 制作/梶原芙美子・岩田知佳
出演 劇団員=赤坂嘉謙 岩尾亮 岩田雄二 
客 演=雨夜秀興 久々湊恵美 小島達子 小林テルヲ 渡辺香奈子
劇場/コンカリーニョ

10年の歴史のこもごも

 『南三条』という曲を始めて聴いたとき、その歌詞の去り行くものへの哀切に較べて、ハイテンションなパーカッションの激しいリズムの曲想に驚いた。
この曲をモチーフにして書かれたこの芝居も、やはり去り行くものへの哀切であろうか。
大学演劇部のメンバーたちの10年後の集まり。さまざまな10年があって、10年前の確執も持ち越され、折角の会は紛糾する。
一つ一つのエピソードが完結しないのと、時間が前後するので分り辛いが、スピードと演技の絡みの上手さで一気に見せる。
タケサンというこの部室である古い倉庫の持ち主への思いが、青春を共有した縁を結びつけているようだった。