演 目
足跡の中で
観劇日時/07.11.29
劇団名/劇団 青羽(韓国 ソウル市)
札幌公演
作/コ・ヨノク 演出/キム・カンボ 
照明/キム・ハリム 音響/ファン・ジョンファン 
舞台スタッフ/アン・ジュンヒョン、ビョン・ジュウ
コーディネーター・翻訳・字幕制作/木村典子
チラシデザイン/若林瑞沙 企画制作/北海道演劇財団
協力/吉井守和・吉井寿・熊倉英記・岩ヲ修一・TPS・
   上田知・すがの公・天野沙織・劇団SKグループ
出演 画家/イ・ホンジェ  妻/キム・エリ  不動産屋/カン・スンミン  客1/チョン・ギュス
   客2/チャ・イェジョン  客3/キム・ヨンファ
   客4/ユン・サンファ  刑事/ユン・ヨンゴル
劇場/シアターZOO

様々な寓話

 殺人事件があって廃業した米屋の後を、アトリエを探していた画家が、逆にインスピレーションを感じ、格安で借りる。
町内の人々は、30年来の米屋が再開したとして米を買いに来る。画家と町内に人々との軋轢。殺人事件の捜査のために昼夜なく押しかける刑事。
ついに画家は、米を置きセルフサービスで売る。画家にとっても米は必需品である。ある日、画家が捨てた描き損じの絵を米袋の代わりに使ったことから米袋の絵が有名になり、個展を開くことになる。
住民たちは徐々に扱い商品を増やすことを求める。画家は拒否してまたも軋轢が強くなる。客の若い美女に一目惚れした画家、やがて彼女は妻となる。
妻は有機農産物の販売店を経営することが夢だった。次第に米屋は生活用品と食料品・農産物の店となっていき、画家も商売に精を出すようになる。
客4は昔の米袋の絵を大事にしていた。それを見た画家は後悔する。客4は「今の米屋は画家の物ではなく人間の欲望の空間である」と言う。彼はこの米屋の元の主人だった。
画家は店を閉店すると宣言、妻は泣いて止める。今や二人は違う夢に向かっているのだ。
不便になる住民は何とか画家に店を続けさせようとするが、画家は断固として閉店を進める。妻は別の男と家を出る。
刑事は商取引違反で画家を拘束する。画家が再び店に帰ると、妻が住民の要望で店を経営して、店は繁盛していた。妻は店の一隅にアトリエを設え、二人それぞれがそれぞれの夢を追えば良いと考える。
画家は品物を売らないと宣言、客によって画家は刺殺される。不条理な突然の死……客たちにもそれぞれ暗い過去があったのだ。
画家は死ぬ間際に、この空間が危険であったことを悟る。そして不動産屋はまた新しい入居者を案内してくるのだった。
一種の寓話ともとれるこの話の内容から何が感じられるのか、人は何に拠って生きるのかということと、生きていることと死との境目の不条理とを語っているのだろうか?
コンパクトに作られて自在に展開するコンビニ風の店の作りが、この人たちの想いを表わしているようで面白く印象的であった。



 11月の極私的ベストスリー 

☆ あっちこっち佐藤さん
劇団 イレブン☆ナイン
☆ あーさんと動物園のはなし
飛ぶ劇場
☆ 悪夢
劇団 DOMO