演 目
月のオモテ
観劇日時/07.11.26
劇団名/劇工舎ルート
公演回数/第14回公演
作/赤玉文太 演出/高田学 舞台美術/田村明美
照明/伊藤裕幸 音響効果/高田光江 照明操作/高田学
宣伝美術/ナシノツブテ 協力/加藤亜紀・旭田正人・赤間さとみ
劇場/シアターコア

説教調になった軽喜劇

 転々と転職を繰り返した若い男・矢沢金太郎(=岡田将史)がたどり着いたのは、メイド喫茶の経営だった。性にあったのかそこそこの成績である。
今日はあるTVの取材の日だが、肝心の取材対象であるトップメイドのマリア(=中谷ユイ)が、約束の時間が迫っているのになぜかトイレに篭ったまま取材拒否をしている。
何とか説得に精を出す金太郎。TVのデレクターで金太郎の高校時代の同級生・上杉(=松下宏)が迎えに来て、金太郎は何とか誤魔化して時間稼ぎをする。
さらに説得中に長く家を離れていた兄・金太郎を、祖母が危篤だと嘘を言って迎えに来る妹・萌(=田内麻衣)。
四人の人間関係から、裏側を見せない月にあやかって、弱い心の裏側を隠し、男の覚悟を決めた金太郎の心情が表れてくる。
萌にもマリアにも優しいことが分ってマリアはトラウマが解消し取材に応じ、萌は明るい希望を抱いて帰る。
ホノボノ路線の軽喜劇という感じだが、金太郎が心境を語るシーンが説教臭く、ちょっと嘘っぽい。こんなにいい加減な転職男の言い草としては素直に飲み込めない感じだ。
話の仕掛けは中々巧く出来ていて、たとえばTVのデレクターがゲストの都合や手違いで翻弄される件など面白い。それが充分に生かされていない感じがマイナスであった。
意外と違和感があるのは、舞台装置の間取りだ。主舞台はこの喫茶店のロビーだが、トイレのドアがいきなりこのロビーの一画にあるのだ。
トイレに篭るのが、この話の主眼だから止むを得ないのだが、いかにも不自然な感じは否めない。