演 目
シレニアの歌
観劇日時/07.11.18
第3回たきかわ市民ミュージカル
脚本・作詞/山元清多 作曲・音楽監督/加賀清孝
演出/伊藤明子
劇場/たきかわ文化センター大ホール

大規模で綺麗に作られた舞台

 3歳から75歳まで、出演者66名といってもほとんどが保育園・小・中学生・高校生・大学生だが、スタッフ70名以上、そして吹奏楽団員44名、合計180人という大編成で壮観だ。
スタッフには在京・在札のプロの人たちが何人もいる。そもそも作者は別として、演出家・作曲家は滝川出身ということで東京から招聘したのだ。
さて話の最初は期待感が一杯だった。高校卒業して何年目かの同級会、集まったのは男女7人だった。終わったあと7人は酔い醒ましに町を歩いていて郷土博物館に入り込む。
7人は来られなかった同級生を非難する。するとこのがらんどうの空間に様々な故郷の伝説や先住者たちの話がイリュージョンとして現れる。
ここで大勢の出演者が活躍するのだが、これがまことに洗練されて綺麗で群集の処理なども見事だし、衣装や小道具にも金を掛け、視覚的な配慮が充分に感じられるのだが、どうも中身が薄い感じだ。
子供たちにほとんど台詞を与えなかったのも、無理を回避した感じで、要するに綺麗に纏めたという印象が強い。
ラストで7人の携帯に、出席できなかった同級生から謝りの電話が入る。それぞれの事情で来たくても来られなかったのだ。
滝川で発掘された海獣の骨格見本の展示、500万年前にはここは海だったのだ。それはシレニアという海獣だ。500万年前とこれからの郷土に思いを馳せる出演者たち……
地元の人にとっては感慨深いものがあるだろうが、演劇として見た場合、外観の見事さに較べて内容の感銘は浅いのだった。