演 目
悪 夢
観劇日時/07.11.17
韓国 春川 劇団DOMO 日本縦断ツアー 江別公演
作・演出/黄雲基(ホアン・ウンギ)
照明監督/朴昌均(パク・チャンギュン)
音響監督/金志奐(キム・ジファン)
舞台監督/尹祺淳(ユン・ギスン)
スタイリスト/朴信映(パク・シニョン)
コーディネーター/崔銀善(チェ・ウンソン)
進行/呉泰錫(オ・テソク)
出演/スクルジ=黄雲涌(ファン・ウニョン)
  スカーレット=安a貞(アン・ミンジョン)
  ボブ=姜俊桓(カン・ジュナン)
  ボブの妻=鄭恩嬋(チョン・ウンソン)
  こじき=閔庚(ミン・ギョン)
   黄雲涌は若いときのスクルジを、他の四人はコーラスとして様々な人物を演じる。
劇場/江別 外輪船 (江別市内の旧岡田倉庫を改装したフリースペース)

幻想的な詩劇

 愛と後悔の追憶の物語。「クリスマスキャロル」をモチーフとして、スクルジの過去と現在とが行ったり来たりして描かれる。それは原作の物語とはほとんど関係がなく、スクルジの心象風景といったものだろう。
ほとんどがパントマイムとダンスで、ボブ夫婦がダブルイメージで演じられるときの長台詞だけ字幕が出るが、暗くてよく読めない。その内容は「想い出を大切にしたい。昔、愛し合ったあの思い出を……」というようなちょっと気恥ずかしいような内容だが、コーラスがコミカルで綺麗な動きなので見とれてしまう。
最初、スクルジ以外の四人が算盤をパーカッションのように使ってコミカルなダンスをするが、まずその魅力に引き込まれる。スクルジは大型の算盤を掻き鳴らし、まるでそれがスクルジの台詞のようだ。いやそれが守銭奴スクルジの台詞そのものなのだろう。
多少語られる韓国語の台詞は全く分らないけれども、全体の雰囲気が伝わるので、まったく問題はない。
抽象的な模様に彩色されたダンボール箱がそれぞれの居場所になっていて、その中から小道具や衣装を取り出したり、亀かかたつむりのように足だけ出して移動するなど、簡素だけれども凝った趣向で面白く象徴的な表現が新鮮だ。
本舞台も斜面の舞台が中央奥に建てられ、それが回転すると場面が変わったり、悪夢に苦しむシーンになったりここは大掛かりだが効果満点である。
総じて、人間の優しい心情を見つめる視点を、卓越した演出・演技で魅せてくれた一編であった。