演 目
西線11条のアリア
観劇日時/07.11.3
劇団名/劇団TPS
シアターZOO企画
作・演出/斎藤歩 照明/熊倉英記・矢口友理・石橋拓実
音響/百瀬俊介 舞台監督/尾崎要 
舞台スタッフ/黒丸祐子 宣伝美術/若林瑞沙
制作/横山勝俊・新堂猛・横尾寛 
ディレクター/斎藤歩 プロデューサー/平田修二
劇場/シアターZOO

広がった舞台

 とにかく面白かったの一語に尽きる。初演のときは、ひたすら猛吹雪のインパクトに圧倒され、しかも過去に観た舞台上の雪が、登場人物の心象の表現としての雪だったのに対して、この雪は人間に対する大自然の象徴としての痛快極まる一種の人格をもった雪の存在に眼を奪われていた気がする。
先日の鷹栖では大きな舞台と客席、といっても350キャパ位のいわば小劇場なのだが、それでもそのサイズではスカスカの薄い印象だけしか残っていない。
だから今日観に来たのも、千秋楽だし最後にもう一度観ておこうかという程度の期待しかなかった。
何が面白かったのかと思ったのだが、具体的には挙げられない。一人ひとりの心情がよく響いてきたとでも言おうか……
初演のときの感想で「登場人物の生きていた時の生活の背景がよく分らない」と書いたが、今回はそれがリアルに感じられたのは戯曲に手が入ったのか観ている僕に素直に受け入れる何かが出来たのか……
不器用にしか生きられなかった人たちの懐かしい物語であろうか。おそらくチエーホフも、悲劇ではなく愛おしい喜劇として、登場人物たちの愚かな人生を描かざるを得なかったように、そんな思わず抱きしめたくなるような人たちの、可笑しくも愛らしい人生の一駒を優しい眼をもって描き出したと思われる。
今までに4回以上も観たのだが、死へと向かう人たちにしては若い人ばかりで老人が居ないのが不思議だったが、今回観て「老人は覚悟が出来ている。急に死んだ人は死を納得出来ていない」という台詞があった。これは今回追加されたのか、あるいは今まで気がつかなかったのか?
何か今日初めて聞いたような台詞が幾つかあったような気がするが、もし初演にはなかったとしても、おそらく今日と同じであるはずの鷹栖で気が付かなかったのが不思議だ。観客なんて無責任なものだ。それとも僕の注意力が散漫なのか?
出演 宮田圭子・木村洋次・林千賀子・川崎勇人・山本菜穂・岡本朋謙・佐藤健一・内田紀子・高田則央