演 目 トワハテ! 観劇日時/07.11.10 劇団名/プラズマニア 公演回数/第5回公演 脚本・演出/谷口健太郎 照明/前田ゆりか 音響/斎藤いずみ・丹治誉喬 宣伝美術/星雅也 写真/常本明日香 映像制作/DAN 舞台/上田知 協力/高済達也 劇場/BLOCH |
大熱血純情劇画SF編 トワハテとは「永遠果て」であろうか、喜怒哀楽をつまり人生の瞬間を永遠の、またその果てに見たいという願いであろうか? 時間の操作に成功した物理学者の教授(=谷口健太郎)が協力者の助手(=村上義典)と共に山中の実験場で、自分たち以外の周辺の時間を止めることに成功する。 一方、盲目の写真家(=太田真介)を献身的に世話する妹(=喜井萌希)が、兄を事故で失って失意の中を二人の友人(=對尾華夜・下山美里)とこの実験場の近くに遊びに来ている。なぜか彼女たちには時間の停止が及ばない。 以前、教授の妻(=黒沼陽子)も実験に協力するために助手と一緒にバスに乗って実験場に来るとき、助手のミスでバスの発車を一分遅らせたことがあった。 じつはそのバスがトンネル事故で多数の死者が出て、教授の愛する妻も盲目の写真家もその犠牲になったという過去があったのだ。 教授は、時間操作を使って、そのバスを止め事故を防ぐ。タイムSFの禁じ手である過去の事実を変更するわけだが、ここではむしろ情念の中での感情解放と言う風に感じられ、そうするとこの荒唐無稽も好意的に納得させられる。 ほとんど全編、教授と助手との善意による熱血的デスカッションが劇画(虚構の世界を現実のように描出する漫画による物語=「国語大辞典」)のように繰り広げられ、その台詞のひとつひとつは、まるで劇画の吹き出しの大きく太い描き文字のように暑苦しいイメージだ。 だがそれは必ずしもマイナスイメージではなく、むしろ近頃珍しい熱血純情路線だ。 頻繁に映し出される字幕が、いちいち心情や結論を説明するのは煩わしい。演劇は説明ではない。登場人物の心の動きで観客に感じさせるものだ。だがこの泣きの純情に爽やかさを感じたのも事実であった。 面白いのは写真家を盲目に設定したことだ。この写真家のこの物語の中での位置がよく分らないが、盲目の写真家という矛盾が何かを象徴しているのではなかろうか…… |