演 目
ごーごーちかまつ
観劇日時/07.11.3
劇団名/セカンドライフ・シアター
公演回数/七周年公演
演出/モモセシュンスケ 照明/大橋榛名 音響/橋本一生
出演/小林孝子・吉岡静江・間瞬
劇場/ことにパトス

洒落た構成

 この集団は、教文演劇フェステバルのワークショップ参加者で作られた全員55歳以上、今年で7年目になるそうだ。
なぜこの芝居を観に行ったかと言うと、一般的な地方の演劇集団は一所懸命にやるんだけど、どうしても楽しみが優先して掘り下げが浅いままで上演してしまう傾向が強いと思われるので、在札のこういう集団とはどう違うのか観ておきたいということと、去年から今年にかけて『チビクロサンボ』『ブレーメンの音楽隊』という小品ながら秀作を続けたモモセシュンスケの構成・演出だったからだ。
近松門左衛門の『冥途の飛脚』『国性爺合戦』『曽根崎心中』という三つの作品をオムニバスとして並べる趣向だ。
ある飲み屋の女将とホステスさんが、落語の『寝床』よろしく素人芝居の観客集めに苦労しているというプロローグである。
次のつなぎで、女将は以前現れた中年二枚目の詐欺師に参って近松の芝居をやることになったらしいことが分る。
この辺の構成はなかなか快調だ。だが最初のプロローグの女将とホステスのやりとりがテンポ悪くもたついたのと、詐欺師がなぜ近松を持ち出したのかというリアリティが納得しづらい。もっと現代風の洒落た演目のほうがこの詐欺師にはふさわしいのではないかという疑問。それとも彼のキザっぽさがあえて近松を持ち出したのか?
三つの物語は出演の三人が交代で役を勤めるが、女優が忠兵衛を演じるためにちょっと分りづらい。さいしょ出演者が女優二人に男優一人と気が付かなかったので、忠兵衛役の女優が忠兵衛であるとは思わず、やがてやっと分ったのは何か工夫が必要であろう。
『国性爺合戦』はほとんど間瞬の一人舞台だ。この二つの芝居は出演者のダイアローグが噛み合っていないようだ。それぞれが勝手に自己陶酔に陥っているように見える。
プロローグのテンポがとてもゆっくりとしていたので、やっぱりなと思ったが、本編に入るとそれなりのめりはりが出て緊迫し劇的な面白さが思った以上に感じられた。
最後の『曽根崎心中』は全編、一人の女優が台本を読む語りで構成したのは弱い。せっかくここまでかなり良い調子で流れてきたのに、ここで退屈してしまう。
語りというのは非凡な力量が要る。まだ非力でこの悲劇を充分に伝えきれていない。シルエットを使ったんだから、これを何とか巧く利用して劇的効果を表現したかった。
構成はとても面白かったし、演技者たちも思った以上に表現していたけれども、やはり趣味の段階を超えてはいない。
そのことを踏まえていればかなり楽しめたのは事実である。