演 目
サンタのひげ
観劇日時/07.10.28
劇団名/skc 劇団SKG グループ内 全国公演ちびユニット
作・演出/すがの公 出演/すがの公・天野さおり
劇場/シアターZOO

軽快な軽喜劇

 去年上演された『サンタのうた』と同じようなというか、一種の変奏曲である。『サンタのうた』は、情けない若い父親と健気な娘との、互いに意地を張り合いながら、心の交流を少しずつずれながらも微笑ましく、延々と描写する物語のない抒情詩のような舞台であった。
今回の『サンタのひげ』も全く同じような構成であり、人物が兄と妹になっているだけだ。もちろん兄妹だから、関係の設定も違うわけだが、心情は全く同じ。
30過ぎてロックシンガーを目指しているが、食えない極貧の兄。結婚相手を紹介に来て、兄に実家へ帰るように勧める妹。お互いに意地を張り合いながら、だんだん幼いころの想い出から心を通じ合っていく二人……
今回は物語がはっきりとしていて、幼いころ父を亡くして母が再婚したことが、兄のその後の生き方に大きな影響があったことが、分ってくるという設定だ。サンタのひげがキーワードになっている。『サンタのうた』に較べて物語の展開に無理のないのがいい。
もう一つ気がついたのだが小道具の使い方が巧い。彼女が幼いころに描いたサンタの絵。磁石、携帯電話など巧妙に使われる。
すがの公は、いつものように少し照れたような、「俺はいったい何をやっているんだろう?」みたいな懐疑的な感じの演技が、この芝居にはピッタリして面白い。
ひたむきな天野さおりとの好対照が効果的な芝居になっていた。
先日の『満月』にも共通する、暖かい楽しいホノボノとした娯楽劇であった。


 今月の極私的ベストスリー 

☆ Moments 07  
Dance Theater LUDENS 2007 Production
☆ 棲家
劇団 北芸
☆ サンタのひげ
劇団 SKグループ