演 目
ライオンと麦
観劇日時/07.10.20
劇団名/劇団 極
作/北川徹 演出/滝沢修 照明/鈴木静悟・遠藤麻里
音響/石川亜弥 映像協力/梶田忍 舞台装置/早川慎也
劇場/ATTIC(長栄ビル4F一室)

晦渋な表現

 ライオンとは何のメタファーなのか? そして麦とは何の象徴なのか? 物語はある崩壊した家族の父親と娘の話らしいのだが、文体が晦渋であり素直じゃないセリフが時間・空間を飛び回るのでかなり分かりずらい。
ライオンとは動物的に強く生きることの象徴であり、麦とは肉体を維持する最低のエネルギーの比喩であろうかと思われる。
昆虫のごとく生きる父親の、とぼけたコミカルな演技は説得力があるが、それが全体を必ずしも表現し得ていないのは、やはり戯曲の独りよがりな難解さとの乖離に起因しているような気がする。逃げた妻との関係、娘のボーイフレンドとの関係、仕事の関係など、なぜもっと率直に表現しないのか不思議な思いに囚われる。
この空間は面白い。雑居ビルの小さな一室で、舞台の間口は6bくらい、奥行きは2bほど。客席は7人が3列で21人、演出の滝沢修の言うとおり、劇中の部屋に実際に座っているような気がして、こういう家庭劇には極めて臨場感の強い面白い、劇場ともいえない超ミニ劇場は魅力的だ。
その魅力を十分に生かし切れていないようなのが心残りであった。
出演者、音井ひろか・鈴木悠平・高崎愛知・滝沢修・
    浜田拓磨・比屋定尚美・よしだまきこ