演 目
アホ シンドンソプ
観劇日時/07.10.15
劇団名/劇団 青い演劇村
韓国光州平和演劇祭 参加作品
スタッフ・キャストは不明
劇場/青い演劇村稽古場

「アルジャーノンに花束を」の縮刷版か

 光州演劇祭に参加する劇団TPSに付いて行ったわけだけども、日程が厳しく参加劇団の舞台を観ることが出来なかった。やっとこの劇団の総仕上げの通し稽古を劇団の稽古場で観せて戴くことができたのだ。
稽古場は光州市の郊外の廃校になった学校の小体育館のような所であり、周りは農地で暖かい好天気、のんびりとした雰囲気の環境の中で、稽古は白熱していた。
この物語はよく知られているし、僕はつい最近観たばかり(07年4月17日「劇団昴」公演『観劇片々』17号P7所載)なので、韓国語のセリフはまったく分らないけれども良く理解できた。
全体の印象は、熱演であり過剰表現といってもよい。最近の日本の演劇には珍しい直行型のストレートな表現で、むしろ潔いというか懐かしい感じがする。
複雑な対人関係を、1対1に整理して分かり易くしていたのも印象的だし、言葉が分らない日本人には素朴な対立構造が感じられるが、言葉だけの対立のような感じもする。
母親の役と教授に対立する女性助教授の役を、一人の女優が二役で演じるのだが、この知能指数の低かった主人公が実験手術で知能を回復し、しかし現実の闇を自覚する心情をダブルイメージで表現して分かり易くさせて卓見だと思う。演劇の面白さだ。
ラストで元に戻った主人公が、かつて何も知らずに愛されていたパン屋に戻って歓迎されるアイロニィのシーンがカットされていたことについて、後で聞いてみたのだが言葉が巧く通じず、はっきりとは判らなかった。このシーンはこの芝居にとって大事な場面だけに、カットした理由が知りたかったのだが、彼らが自信をもってカットしたことだけは感じられたが、その理由は残念ながら分らず終いであった。
演劇専門家で通訳をしてくれた木村典子さんがいたのだが、本隊に付きっ切りで時間がなかったのが残念だった。