演 目
キャッツ
観劇日時/07.8.4
劇団名/劇団四季
曲/アンドリュー・ウェバー 詩/T.S.エリオット
製作・演出/浅利慶太
劇場/キャッツ・シアター

豪華なステージ・ショー

 劇場に入った途端に気づくのは、ほとんど劇場全体が舞台になっているような感じだ。円形の舞台部分はもちろん、半円周に作られた客席の周りもすべて作り物のガラクタで覆いつくされている。祭りの見世物のお化け屋敷の雰囲気だ。
都会のゴミ捨て場に集まる猫たちの物語だから、そういう意図としては成功しているのだろう。登場人物たちも客席を走り回る。僕は二階最前列で観ていたのだが、役者は舞台から梯子で二階へも駆け上がり目の前を駆け抜ける。
困ったのは、チラシに書いてある物語が立ち上がってこないことだ。歌とダンスだけで表現されるから、芝居としての進行展開がよく見えないのだ。24匹の猫たちの中から選ばれた一匹が天上へ昇るという話が、舞台を観ている限りでは了解出来ない。
厚みのある歌唱、切れ味の良いダンス、マジックショウのようなダイナミックな演技、ラストの天上へと昇る特殊技術など見せ場は沢山ある。だが残念ながらそれらが芝居のストーリィを表現するためにはまったく機能していない。
だから見世物のようなステージ・ショウとしか受け取れない。
それにしても、この子ども料金のない一律一万一千円の千二百席が、夏休みの子どもたちも大勢客席にいて、しかも10年前から今後も期限未定の超ロングラン……何か別世界を垣間見たという印象だ。
劇場もこの『キャッツ』を専門に上演するための特設劇場なのだが、まるでプレハブのような感じの建物だ。必ずしもプレハブが悪いとは思わないけれども、何となくチグハグな印象は否めない。
おそらく専用劇場だから、こけたら即解体するんじゃなかろうかという意地悪い疑問が起きてくる。