演 目 三人男娼 観劇日時/07.6.23 劇団名/豊水西創成文化まちづくり倶楽部 作/藤川志朗 演出/齊藤雅彰 音響/大津充敬 照明/菅原渉吾・田中信次 舞台美術/畠中信 衣装/アキヨ 舞台監督/二唐俊幸 フライヤー/佐藤由美 制作/澤田秀樹・宇野英樹 プロデューサー/大久保真 劇場/市民活動スペース アウ クル体育館(廃校になった旧豊水小学校体育館) |
ゴローを待ちながら 全国的にも有名な札幌の歓楽街「すすきの」の一郭にある野外のベンチ……そこに偶然三人の男娼(=城島イケル・松本直人・松永容治)が人待ち顔で現れる。 彼ら? 彼女らは、三人とも「ゴロー」という、もしかして同じ人物を待っているらしい。話の中で彼らはこれまでの人生で屈託し、何故か女装の生活をせざるを得なかったらしい。これは「すすきの」で働く女たちや男たちの現実から抽出した物語から構成したと思われる、かなり普遍性のあるモチーフであるようだ。 彼らが待っているゴローちゃんは中々現れない。でも彼らはひたすら待つ。期待の星・ゴローちゃんの出現をひたすら待ちながら…… 彼らの座っているベンチは、「すすきの」地区の浄化政策の一環として、花売りを規制するために撤去されることになる。そして、その代替策として花の自動販売機が設置されることになる。これが現実の浄化政策とどう繋がるのか? この話題が伏線として、主題に絡んでくる。花を巡って花屋や利用者と行政側との対立が面白おかしく描かれるのだが、この描写は表現としては巧いのだが、対立構造としては、在り来りであり新鮮味はない。現実にあった対立ではないと思うが、市民の側と行政の側との意識の対立の差違が必ずしも納得できる描写ではない。双方がシュプレヒコールの応酬では単純過ぎる。 男娼たちの物語は『ゴドーを待ちながら』の変形として面白いのだが、脇筋の花騒動とが巧く噛み合わずに平行して物語が進んだのが物足りないのと、狂言回しになるはずの観光客の二人の人物(=原子千穂子・庄本緑子)の役割が少なすぎるのに不満が残った。 この二人はもっとこの物語の客観者・批評者として、活躍して欲しかった。これではまるでこの二人を登場させるためにとりあえず作ったキャラクターのアリバイ作りに出てきたようにしか思えないのは至極もったいない。 その他の出演者。花売り娘(=小林なるみ・三原あゆみ・波多野友里恵)、漫才コンビ(=久々湊恵美・亀山統)、 神父(=宮澤りえ蔵)少女・花嫁・女・老婆(=南あいこ)、コロス(=吉岡尚吾・佐藤由美・清澤光洋・鈴木英之 阿部邦彦・齊藤雅彰)、木下(男娼の一人)の子ども時代の声(=佐々木康太郎) |