演 目
ガウによるブレーメンの音楽隊
観劇日時/07.6.22
劇団名/ガウ
作・演出/モモセシュンスケ
制作/カナヤマユイ
舞台美術/ズキさん
照明/高橋さん
衣装/かくちゃん
制作/おとかわちゃん
広告デザイン/みかみあつこちゃん
写真/かつみさん
映像収録/須藤さん 
レッドベリースタジオ/飯塚さん その他
劇場/レッドベリースタジオ

生と死の詩劇

 幼稚園の遊戯室位の広さのホールで、目の前で演じられる超ミニ劇場だ。
 入場料を払って、ビニール敷きの会場に入る前から賑やかで哀愁を帯びた音響が聞こえている。それは5人の出演者が、楽器とも言えないような身近な道具や玩具や、得体の知れない小さな道具を打楽器として使いながら、一種のパーカッション合奏をしているのだった。
 やがて開演時間になると、3人は去り、残った2人が年老いた犬(=タカダノリチカ)とヒヨコ(=モモセシュンスケ)になり、抽象的な詩のような会話となり、それは老幼二人の回想と未来への漠然とした心境吐露のようなものか? 演技も衣装も様式的で抽象的だから、印象で感じている。 
 猫(=コスケガワナオミ)と驢馬(=ナガムツ)が現れる。彼らも年老いているらしいが彼らの演技も衣装も一種の象徴的抽象的様式的である。4人の衣装は、薄いベージュ色のザックリとした袋状の上着と同じ素材の半ズボンパッチワーク式のポケットが着けられている。
 そういう4人は、未知のブレーメンという土地を目指す。そこには彼らの知らない音楽隊という何かがあるらしい。
 場面は変わり、ある満ち足りた夫婦(=テシロギヒロフミ・タキザワオサム)の住まい。この場面も抽象的だが、変形されたコメディとして演じられる。しかも妻の役は中年男で気持ちが悪いのだが何だか滑稽でもある。
 その幸せの最中、窓から4人が縦に並んで一斉に鳴き声を挙げると夫婦は晩餐の食べかけを投げ出して逃げ出す。
 乗り込んだ4人は飽食し眠りこける。やがて寝覚めた驢馬はまたブレーメンを目指す。その時起きた猫も同行することになる。
 2人が去った後も眠る続ける犬と鶏、すべてが終わった犬と、何も持たない若い鶏の二人は途方にくれる……
 ブレーメンの音楽隊という寓話をモチーフにした詩劇であろうか? 前回の『チビクロサンボ』といい、今回といい面白いモチーフを発見した功績に感心する。
 さて気になるのは、犬と妻が肝心のところで本を朗読するのが説明調で無機質なことだ。ちょっと安易な感じがする。 その部分をコント風にするか、せめて語りにするかすると僕のいう演劇的インパクトが強くなるのではないかと思う。