演 目
ポーリュシカ・ポーレ〜2007年の三人姉妹
観劇日時/07.6.21
シアターZOO企画・TPS制作公演
作/アントン・チェーホフ
脚色・演出/斎藤歩
演出助手/宮田圭子
舞台監督/佐藤健一
舞台スタッフ/黒丸祐子・永利靖
ディレクター/斎藤歩
プロデューサー/平田修二
劇場/シアターZOO

極端に様式化した実験舞台

 おそらくこれだけ完成度が高く、上演回数も多く広く知られている戯曲を、まともに舞台化することを避けざるを得なかったのだろうか? 或いは100年前のロシアの現実を、リアリズムでやっても面白くないと思ったのか、先日の『ワーニャ伯父さん』はオーソドックスだったけれども、今回は意識的に様式化された演出であった。
 まるでロボットのような一律な演技、棒読み風の台詞、一斉に発せられる作り笑いのような笑い声、舞台と客席をいつもと逆に設えて、いつもは客席のスペースが舞台になり、いつもは客席である舞台の、奥の真中辺に寸角の木材をばらばらな長さに切った棒を粗い簾のように吊り下げ、そのシーンに登場しない人物はそこへ記念写真のように並んで座って、登場を待って居る。 
舞台は長椅子のように据えられた白木の箱、アンテークなチエアとやはり白木のスツールのような箱。そういう舞台がすべての場面になって展開する。
 これはある種の人からは、冒涜している、とか拒否反応とかが起きる可能性がある。それくらい前衛的で実験的だ。
 だがそれにしては意外にもリアリティがある。やはり鍛えられた演技力であろうか? なまじこれをぎこちなくやると見られたものじゃない舞台が出来上がるだろう。観ているうちにその人工的な造りの中に、それぞれの人物の個性が感じられてくるから不思議だった。
 ヴェルシーニンが、市民を含めて軍事訓練を行うナンセンスを描いたのは、直接に『三人姉妹』とは関係ないが面白いアイデアだった。
 題名の由来が分からないのがちょっと気になった。
全くの余談だが、内田紀子がふっくら顔になっていて、最初に板付きの時には誰か分からず、もしかして急病か何かで急遽代役が出たのかとも思ったが、見慣れない顔なので誰だろうと思っていたら台詞を聞いた途端に内田と分かりびっくりした……
出演者は、アンドレィ(=川崎勇人)・オーリガ(=山本菜穂)・マーシャ(=山口清美)・イリーナ(=内田紀子)
チェプトイキン(=永利靖)・ナターシャ(=吉田直子)・フェラポント(=林千賀子)・クルイギン(=岡本朋謙)
トゥーゼンパフ(=佐藤健一)・ソリョーヌイ(=木村洋次)・アンフィーサ(=深澤愛)・ヴェルシーニン(=重堂元樹)