演 目
酔っ払いと椅子と宇宙人と
観劇日時/07.6.20
劇団名/Theater・ラグ・203
公演回数/Wednesday Theater Vol.17
作・演出/村松幹男
音楽/今井大蛇丸 
音響オペレーター/吉田志帆
照明オペレーター/柳川友希
宣伝美術/久保田さゆり
劇場/ラグリグラ劇場

何度も観たくなる舞台

 いつも思うことだが、何度も観てみたいと思える芝居はそうたくさんあるものではない。『シアター・ラグ』の芝居にはそう思える芝居が多い。もちろんすべてがそうだとは限らないのだが、やはり多い。
 この『酔っ払いと椅子と宇宙人と』も、そういう舞台だ。戯曲はもちろん演出も初演と別に変わっている訳ではない。
 例えば祭壇のシーンで、粗末な木製の椅子の背もたれの木枠の間から遺影として自分の顔を出すのが、哀愁の中に一瞬ユーモラスな情景を醸し出して思わず笑ってしまったが、前回にはそんなに印象がなかったので、終演後に聞いてみたところ、前回までは、別の場面でもそういう箇所が幾つかあったので、肝心の場面の印象が薄かったのかもしれません、ということであって、その程度の演出の変化はあるのであろうが、基本的には変わっていないのに魅力は落ちない。
 一つには戯曲の完成度が高いのだが、演技者の力量による影響も大きい。この集団の大勢の演技者達が、それぞれ一定の力を持って居るのがよくわかる。
 前回まで、この酔っ払いの冴えないサラリーマンは自虐感と不満感が強く、その妄想という感じが強かったのだが、今回はそれに諦めのような哀愁感が強く感じられた。だからラストで妻の存在に癒されるシーンが印象的になる。前回は妻の方に主導権があったような印象で微かにニュアンスが違うようだった。
 そして、これもいつも思うのだが、観客の少ないことだ。宣伝の力不足ということだそうだが、じつに勿体ない。
 この劇団は紐付きになることを潔癖に嫌うので、事はそう簡単ではないだろうが、僕には札幌で金を払って芝居を見たいという知り合いが少ないので、あまり力になれないのが残念だ。