演 目
きょうの雨、あしたの風
観劇日時/07.6.8
劇団名/俳優座
旭川市民劇場 6月例会
原作/藤沢周平
脚本/吉永仁郎
演出/安川修一
美術/広瀬誠一郎
照明/石島奈津子
音響/小山田昭
衣装/今西春次
舞台監督/石井道隆 
制作/下哲也・村田和隆
劇場/旭川市民文化会館大ホール

江戸の庶民の人情

 最近、江戸時代の武士たちの不条理な状況や、庶民の哀歓を描いた映画が人気を集めているが、これもその一編だろか。
 ここに描かれるのは、長屋住まいの庶民たちだ。武士の世界と違って、無理な束縛はないけれども、代わりに貧困と闇の武力の威圧がある。弱い人達は彼らに付け込まれる。
 3つの短編を一つの芝居に構成したので、多少無理なところがあった。一つ一つの物語がそれぞれ独立していて3つが巧く解け合っていない感じなのだ。
 正面奥に木戸を設け、上手に二軒の長屋の部屋を回り舞台で見せ、下手はもう一軒の長屋の部屋を見せるが、その部屋が不要のときは壁で隠して別の長屋の建物のように見せる。それは巧く造られているのだが、3つの話が交互に演じられので交流が薄く、それぞれの住人たちが、本筋以外の場面で話をするぐらいでしかないから、とってつけたような感じになってしまう。
 貧乏長屋のオチョコチョイで気がよく誠実な職人一家に関わった資産家の老女とその非情な息子。心優しい姉と寝たきりの母親とやくざな弟、そこに関わる素朴な職人と元やくざの老人の侠気心。孤独な中年女性の部屋へ転がり込んだホームレスの若い男の物語りなどが展開される。
 元やくざが「こんな良い死に方ができて嬉しい」と言いながら、自己犠牲の格好よい死に方を選んで逝く時は観客の拍手が沸いた。つまり金も身分もない庶民の憧れと誇りの手っ取り早いストレス解消だろうか。
出演者は、阿部百合子・川口敦子・青山眉子・岩崎晃・清水直子・生原麻友美・荒木真有美・可知靖之・荘司肇
志村要・島英臣・内田夕夜・河内浩・関口靖雄・斉藤淳