演 目
A Treasure in the Dark ヘンカ ハ フヘン ミクロ ハ マクロ
観劇日時/07.5.26
劇団名/ユニット『東福〜とんぷく』
コンテンポラリーダンス公演
構成・演出・振付/東福〜とんぷく〜
出演/東海林靖志・福村慎里子
照明/大橋はるな
音楽/篠原義弘
音響/百瀬俊介
映像/相馬ふさこ
衣装/岡本嚇子
舞台部/土屋智恵子
企画・制作/東福(アジアンハッピー)
劇場/ことにパトス

真理に対する共鳴と反撥

 これまでに観た福村の構成演出作品は、いくつかの章に分けられていることが殆どで、今回も5つのタイトルが付けられているが、その一つ一つの意味を考える必要はなく、その区切りめも定かではない。最初のタイトルが「ミクロはマクロ」であり、最後が「ヘンカはフヘン」であることだけが、全体の意味だと思える。
 つまり全編を通すテーマを意味付けると、男と女の共鳴であり反発である様相を象徴的に表現しているのだ。
 その変容するさまざまな男女の有り様が、複雑な人間関係の基本であり、つまり変化は普遍であり、ミクロはマクロであるという所以であろうか。
 あまりにもさまざまな変容を見せるのと、タイトルと内容が僕の記憶の中では一致しないので、すべてを説明するのはむずかしいが、思い出すままに再現しよう。
 男と女の引き合いと駆け引きのような場面。蠕動と軟体動物のような動き……
 磁石の引き合いと反発のような動きが、男女交互に一方が物体と化して延々と演じられる。
 それらのシーンが、次々と変化しバラエテー豊かに続けられる。
 背後の大黒幕が開かれるとスクーリンが現れ、星のような光りが流れ微細な砕ける星屑となり、さらに万華鏡のような模様がうねり拡大し縮小し、その前で曲折し、くねる二人の肉体は美しくも奇怪であり、さらに幻想的な異界の赴き……
 男が両手の手指を絡ませてさまざまな形を作る映像を大写しにしたスクリーンの手前で踊る女は、男の手の中の存在……あるいはその逆でもあるのかも……
 軽快でコミカルな音楽で二人が絡みあうシーンは、一種の至福の境地か……
 すべてミクロには男と女の世界で、それはマクロには人間全体の様相であり、そしてそれらの目まぐるしい変化は最終的には普遍の真理であるといえようか。
 縦横無尽に動き回り、呼吸の乱れない二人の力技の1時間20分は息を吐かせぬ魅力に溢れ、福村の追求と充実と進化と、東海林の少年のような強靭な爽やかさが印象的であった。