演 目
行き止まりに吹き溜まる澱んだ空気は何処から流れ来たるのか
観劇日時/07.5.19
劇団名/演劇公社ライトマン
公演回数/第四回公演
作・演出/じゅうどうげんき
音響/吉江和子
照明/相馬寛之 
制作/演劇公社ライトマン
舞台美術/安藤啓佑
衣装/武田のぞみ
小道具/げやひろし
劇中歌「いろんな人生」 作詞/演劇公社ライトマン・作曲/三島祐樹
劇中歌「見てみたい」 作詞・作曲/げやひろし
協力/石田茉依・小川しおり・岡本朋謙・佐藤健一(TPS)・長岡登美子(yhs)
劇場/シアターZOO

ふざけた真面目さ

 長くてまるで内容を説明しているような具体的なタイトルだ。昔、劇作家の清水邦夫の戯曲のタイトルがとても長くて覚えるのに大変だったが、これはそれよりも遥かに長い。
さて、今回は高校生の物語である。高校生って微妙な年代だ。まだまだ少年なのに心も体も大人の領域に入り込み始めている。子供の純情さと大人の世俗さとを合わせ持っている存在だ。それは必ずしも高校生だけがもつ特殊性ではない。ある種の成人にもある特性であり、この両義性を高校生を使って巧く表現した。
 若草高校のあるクラスには男子のバカトリオがいる。地元の有力者の息子・クニリョウヘイ(=三島祐樹)は食わせ者、父がロシア人だが日本生まれで日本育ち日本語しか知らずロシアへ行ったこともないイサヤノヴォーギン(=フレンチ)、床屋の少したりないバカ息子・ナカサコウイチ(=あんどうけいすけ)である。
一匹狼の正義感・ワコウツネヒロ(=重堂元樹)は孤立しているが成績優秀の彼女・はつやまカナエ(=武田のぞみ)がいる。担任の社会科教師・マツシタ(=げやひろし)は29歳にして童貞。カナエの義姉・タマエ(=長麻美)は男・クニリョウゴ(=三戸部大作)と組んで美人局。ほかに国語教師のテズカ(=塚本雄介)。
雰囲気のある教室と、タマエの家の部屋を交互に出すのだが、明るいまま全員で瞬時に変換する作業が面白く見せた。
これらの大人子ども9人が、入り乱れてのおふざけが意外にシリアスなのだ。正義を振りかざすワコウが、俺たちは友達だと功利的に擦り寄るリョウヘイに仲間入りすることを宣言するのがラストシーンだ。澱んだ空気を突き破るのは妥協なのか?