演 目
アンテナノサキ
観劇日時/07.5.15
劇団名/ラビカ
脚本・演出/立川佳吾
制作/中村友紀
音響/橋本一生
照明/相馬寛之・稲田桂
舞台/妹尾知美
衣装/小野寺ゆい
劇場/シアターZOO

世界終末の考え方

 具体的な状況説明はないけれども、恐らく地上に人間が住めなくなって避難した、地下シエルターに暮らす5人の男女の物語りである。
 なぜか判らないが、この地下のシエルターには局長といわれる男・タミヤ(=立川佳吾)と若い男・カザミ(=中嶋裕太)、二人のこれも若い女性(カノ=松本亜弓・ヒカリ=上總真奈)が暮らしている。彼らはここに避難してから約1年が経っている。食料もあと半年分しかない。
 ここにはもう一人、地上を知らない少女・ソラネ(=木島里美)も一緒に暮らしている。つまり5人だ。彼女は地上のラジオ放送が唯一の楽しみであり、別世界とのコミユニケーションの手段だ。その放送は、やがて始まる歓喜のパレードを予告している。
 彼らはこの地下シエルターのラジオ放送局を通じて地上の人間たちとの交流を模索する。だが一方通行でいくら発信しても応答はない。ベタな連続ドラマを作って放送しても全く返事はこない。
 この辺りは、閉塞感とデスコミユニィケーションの話かなと思う。少女は一人で地上の電波を聞いてなんとかコンタクトを持ちたいと熱望する。
 そこへ地上から一人の男・ミツ(=大沼誠)が、偶然飛び込んでくる。彼も地上で孤独だった。ラジオで希望の楽園があると聞いて電波で探しているうちにこの地下のシエルターのラジオ局にたどり着いたのだった。
 地上を知らない少女、閉塞空間を脱出したい若い男はこの偶然迷い込んだ男と一緒にここを出る決意をする。
残る3人の動揺……
 葛藤の末、局長がドアを開けると鮮やかな光が差し込む、だがその光りは朦朧としたモヤに包まれた光であった。暗転すると少女がまた一人でラジオを聞いている。あの歓喜のパレードが始まると絶叫している……だがそれまでに聞いていたパレードの予告放送には華麗な音楽が流れていた。しかしこの放送はアナウンサーの声以外はまったくの無音である……
 地上は無人なのか? 終末なのか? 鮮烈な明りは希望の象徴なのか? 破滅の爆発なのか? パレードの予告は幻でしかなかったのか?