演 目
五月の風
観劇日時/07.4.22
劇団名/演劇空間 JAM House
公演回数/第5回公演
作・演出/岩本幸治
照明/相馬寛之 
演出助手・音響/佐久間奈々
舞台監督/野村孝志
舞台美術/岩本幸治・笠原瑞貴
小道具/中野祐美
衣装/高橋綾香
制作/佐藤淑美・仲道まい
劇場/シアターZOO

少年の夢

 笹本シュウタロウ20歳(=岩本幸治)、三浪で医学部志望の予備校生。だが最近学校へ行っていないようなので友人・山崎亮太(=佐野雅)と庄司アイ(=仲道まい)たちが心配している。
 彼は自分がなぜ医者になろうとしたのか分からなくなっている。そこへ一人の旅の女性・岡嶋ナツコ(=佐藤淑美)が訪ねて来る。
 8年前、孤独な小学生だったシュウタロウは、毎日公園のベンチで本を読んでいた。イヤ読むふりをしているだけだった。
 そこへ一人の旅人18歳の女性・8年前の岡嶋ナツコがやってくる。彼女も孤独であったらしい。彼女の呼びかけに心を開いたシュウタロウは彼女の一週間の滞在中彼女が不治の病に冒されていることを知り、医者になることを誓う。それが彼の原点であったのだ。しかし8年経ってすっかりそのことを忘れていて今はその原点を思い出すことが出来なくなっていたのだった。
 再会した二人は彼女の短い滞在中、友人たちと連れだって海岸に遊ぶ。翌日、過去を思い出したシュウタロウは友人たちに昨日のことを確認するが、友人たちは海岸へ遊びにいったのは3人だけだと言う。
 携帯の写真にも写っていない。彼の妄想だったのか? 女は風のように彼の過去に現れた幻影だったのか?
 一切は夢のごとく彼の8年間を支配した意識は忘却の彼方へと消えた。シュウタロウは、彼女と一緒に旅をする相棒らしい男・聡史(=麻野勝史)へメッセージを書いたメモを渡す。シュウタロウは過去と決別できたのだろうか?
要所々々で、カザヨミといわれる謎の老婆(=中野祐美)が現れてシュウタロウに何かを進言する。それはナツコのことらしいが、つまりこの老婆はシュウタロウの潜在意識の象徴であり、対人関係を作ることが苦手な少年があえて人間関係を作ろうとして結局うまくいかずに、しかしある未来に向かって歩こうとする……というのは僕の妄想である。というのはラスト近く睡魔が襲って、一瞬瞼が落ちたのでそのあたりの事情がよく分かってはいないのだ。眠るのも批評の内という都合のよい言葉を信じて……
都会風の洒落た舞台装置が幻想味を感じさせる……