編  集  後  記


○ 前号の訂正
 16号の後記に、原健太郎氏の『笑息筋』第226号から、「劇団ズーズーC」の「オメオリケイジ一人芝居」『喜劇 告白の通夜』についての記事の中で、次ページに、「オメオリケイジ」氏のお名前を間違って「オリオメケンジ」氏と書いてしまいました。
原健太郎氏とオメオリケイジ氏に不快な思いをさせてしまったことを深くお詫びして訂正いたします。

○ コントの可能性
ちょっと旧聞に属するが、コントの可能性について考えさせられるTVを見たので報告する。NTV系で年に2回開催される『全日本仮装大賞』です。今年は5月5日に放映された。
この出演者は、半年かけて局と一緒に作り上げるそうだが、それを観ていて僕はまた余計なことを考えた。それはこの出し物の内容というか、参加チームの思いというか、それが何なのかということだ。
@ は「ドラマ性」です。
審査員の佐野史郎氏が「アイデアや技術は良いがドラマ性がない」とコメントしていた。 
 佐野史郎氏は俳優だからドラマ性に着目したのかもしれないが、やはりドラマ性は大きな要素でしょう。
A は「スピードとリズム」です。
観るものを引き込む技術が大きな魅力でしょう。特に短い時間では大事でしょう。
B は「ユニークなアイデァ」です。
  初期の「ボンレスハム」が今でも強烈に印象に残っている。女の子が自分の二の腕を紐で縛って箱に収めてボンレスハムに見立てただけなのだが、このユニークなアイデァだけで優勝したのだった。
さて今回の入賞作品は、
『池に映った夏の日』
池に映った人物は逆さにぶら下がった別の人。
これはアイデァだけ。夏の日の池の清涼感と、逆のバカバカしい暑苦しさとが秀逸だ。
『彼女が怒ったわけ』
 黒バックの前で、男女の食事中の喧嘩の風景。
 多数の黒子たちのタイミングの良い介添えが、スピードとリズムで生理的な快感を感じさせ、ドラマがあった。
『暑〜い』
 着ぐるみのお兄さんの脱いだ腹から女の子が出てくる。アイデァと意外な仕掛けが魅せた。
 さて、この中からコントの可能性が受け取れるのだろうか。

○ 前号までの紙面は、行数・文字数ともに多すぎて、とても読みづらいと思われるので、今号から少し空白をとってゆったりとした紙面を作ろうと考えた。
ほんとうは写真や絵などを入れて見易くしたいのだが、僕の技術ではまだ自信がないのと、特に写真は相手の了解が必要なので正直なところ億劫なこともあって踏み切れないが、いずれ挑戦してみたいとは思っている。
単に文字の大きさをいろいろと変えたり、文字そのものに色を付けたりすることは簡単だが、あまり趣味じゃない。
前々号あたりから表紙だけはかなり地色や文字の色は考えて変化させているつもりだが、前途ほど遠しの感が大きい。
もう一つは、何とか1タイトルを1ページ内に収めようとするために、内容に無理が生じることだ。今回は多少紙面に乱れができても余り気にせずにやってみようと思った。

○ 全編を読み直してみて、一つ言い足りないことがあったので付記します。
本号11ページ所載(電子版では9ページ)の、イナダ組公演『第2柿沼特攻隊』の記述の中で、
「ラストシーンで、住民一同は非現実的にも軽機関銃を持ち、それぞれの敵に向かって一斉蜂起する幻影をもつ」と書いた。
イナダ組は以前に『カメヤ演芸場物語』という秀作が好評のため『亀屋ミユージック劇場』と、改題・改訂して再演されている。
僕は04年11月の『カメヤ演芸場物語』のときに、「かつて(学生運動の苛烈な闘争の末に)挫折した若い闘士たちを登場させたのだから、彼らの真意についてもう少し掘り下げられなかったのかなぁと思うのは無理であり僕の感傷であろうか?」(7号)と書いた。
今回の『第2柿沼特攻隊』のラストシーンは、『カメヤ演芸場物語』に対する僕の要望への応答ではないのかと密かに思っている。