演 目
地獄八景亡者戯
観劇日時/07.3.11
劇団名/劇乃素艶屋
公演回数/第3回公演
作・演出/矢野ツカサ
照明/豊島勉 
制作/MARU
企画・制作/劇乃素 艶屋
劇場/アトリエ練庵(旭川駅前の雑居ビル)

軽やかな風景

  上方落語の大ネタで、あの世へ旅立った二人の旅人が、地獄へと辿る旅の途中で出会ったさまざまな出来事を描写する話だが、時事ネタを取り込んで風刺味を利かすところがミソだ。
今回はその大枠を使って、艶屋流に書き下ろしたのだが、役者陣の達者な演技術で楽しませてくれたのに、残念なのは毒味が薄いことだ。こういうものはあくどいくらいの嫌味が身上だが、いかにも上品で薄味なのが、印象の弱いものにしたようだった。
濱田廣介の童話『泣いた赤鬼』の青鬼の偽善性を暴くシーンがあったが、この青鬼は自己犠牲の極致の存在でありながら、僕はずっと格好良すぎることに微かな違和感を覚えていた。
自己犠牲の尊さと難しさを、今更に思い起こさせてくれた印象に残った場面であった。