演 目
僕たちの彷徨
観劇日時/07.3.11
劇団名/演劇集合体マキニウム
公演回数/第11回公演
作・演出/槙文彦
音響/中井孝太郎
照明/大橋はるな
舞台/濱道俊介
音楽/金子綾香・浅野友寿
レコーデイング/山本多美夫
衣装・メイク・小道具/尾方聖恵・サトウサナエ・細川泰史
演出助手/波多野友里恵・尾方聖恵
アナウンス/金沢さやか  
舞台監督/槙文彦・濱道俊介
制作/金子綾香・波多野友里恵・サトウサナエ
出演/細川泰史・金子綾香・栗原聡美・大沼誠・波多野友里恵・吉江和子・大谷啓介
サトウサナエ・尾方聖恵・浅野友寿・小川貴大・濱道俊介
劇場/ことにパトス

死者たちの討論劇

  狭いパトスの会場を横長に使って、舞台と客席の親近感を強め臨場感を感じさせる造りの舞台は、全面灰色に彩られてきちんとシンメトリイに、そしてたっぷりと設えられている。
大小の短冊形に切り出された黒と白の板が、その灰色の背景に散りばめられている。そう、その風景はまさに鯨幕のイメージであり、多分そこは冥界なのだ。
 そこの登場人物は死者たちなのだ……彼らはこの世に何等かの思いを残して心ならずもあの世に旅立った人達であるらしい。
 彼らは、残した思いを残した人たちに何とか伝えようとする善意のボランテイア活動をもくろむが、この世の軋轢と同じように、この世界でも死者たちの自我のぶつかり合いが高じて破滅する。
 これは一種の群衆討論劇だ。何を喋っても議論しても結局、何の結論も出ない究極のニヒリズム劇だ。
 僕たち観客は、この劇が表す真実に立ち会って何を感じ何をしなければならないと思うのか? 観客に問題を突き付ける討論劇だが、総じて爽やかな印象を残した。
ただ余りにも一直線で生真面目すぎて、劇としては必ずしも面白いとは思えないのがいささか残念ではあった。
もっと劇として変化とリズムがあれば、面白く観られたのにと思われる。