演 目
G’(ジー・ダッシュ)
観劇日時/07.3.10
劇団名/SK’(エスケー・ダッシュ)
公演回数/第1回公演
脚本/すがの公
演出/天野さおり
照明/及川奈緒美
音響/高橋逸人
衣装/古崎瑛美 
宣伝美術・大道具/高橋隆太
小道具/立川佳吾
製作/小山めぐみ・能登英輔
広報/福村澄江
チケット管理/江田由紀浩
協力/SKG・ゴールデンキラーズ・北海学園演研
出演/大原慧・松下彩華・彦素由幸・菊地英登・村上義典・篠田なつみ・あかね・清水翔太・天野さおり
劇場/シアターZOO

家族の大河ドラマ

 1940年から2027年までの、ある家族の大河ドラマと読めよう。当然タイムスリップの、荒唐無稽な時間・空間移動が次々に登場して、めまぐるしくて付いて行くのが大変だ。
 だが判ってしまえば話は単純だ。つまりある家族の、三代に亙る純愛と家族愛の物語りである。
 2007年、つまり現代の平均的な祖父・両親・兄妹という家庭の中での欠落した祖母のルーツを問うところから話は始まる……
 話の芯は単純だが、物語の運びはそう単純じゃない。何しろ2047年にも行く訳だから結構、荒唐無稽な設定の時間と空間が飛び回るのだ。
 だがそれにもかかわらず全編に通じる素朴な対人愛・家族愛が素直に心に訴えるから素直に観ていられる。
 1945年前後の、戦地の描写は緊迫感充分のリアリテイがあり、一種の時代劇のような感覚なのだろうが、若い役者たちが奮闘していた。
 いつの時代も、国家権力が庶民のささやかな生活を規制していく哀しさを相対的に表現していく、その若さのエネルギーに爽やかさを感じる。
未来の使者である二人の、妹に対する立場がいささか浮いていたのが心残りであった。
「SK’(エスケー・ダッシュ)」とは、劇団「SKG」の二軍的集団で、今後若い人たちを取り込んで「SKG」のエネルギー源としていく方針だそうだ。
「G’(ジー・ダッシュ)」という戯曲は、すがの公の5年前の作品の再演ということだが、すがの作品特有の晦渋さが現れている作風だが、初々しい演技陣の取り組みは、稚拙ではあるが若々しく新鮮であり、SKGに良い刺激を与えることだろうと思われる、楽しみな企画であった。