演 目
14歳の国
観劇日時/07.3.4
劇団名/トムトム‐キロル
公演回数/vol.2
作/宮沢章夫
演出/菅原さとみ
舞台監督/杉尾勇人
照明/池田憲昭
音響/遠藤樹里 
舞台美術/佐藤瑞恵
大道具/藤田智康・斉藤八史 
小道具/高田学・本田直樹
制作/三浦佐江子
衣装/山本幸枝・我妻志保・中村瑞恵 
劇場/旭川 シアター・コア

少年の心の闇の普遍化

 14歳、中学2年生という年齢。その14歳の心の闇とは果たして14歳特有のものなのであろうか? 
狭い舞台一杯に中学校の教室、机と椅子が並べられている。それぞれの生徒たちの席には、生徒たちの持ち物、鞄や上着などが散見する。
5人の教師たちが三々五々この教室に現れる。彼らはこのクラスが今、体育の授業のために生徒が誰も居ないのを知っていて、私物検査をするために来たのだ。
教師たちは自主的にしかも内密に、ということは後ろめたさをもって検査をやろうとしているのだ。それにしては検査のやり方が要領悪く、しかも本来の検査に関係のないお互いのあら探しや些細な感情の齟齬にとらわれて、肝心の検査が全く進まない。
誰がどの席を担当するのか曖昧だったり、一回見たところを別の教師がもう一度見たりとか、わざと5人の意思が統一されていない象徴として演出しているのかとも思われるが、観ていた感じとしては、こういう危険を冒しているにしてはイージーだというイメージが強い。
何も出てこなかったのだが、一週間後、再び同じメンバーで同じ教室での私物検査が行われる。
刑法14条の改正に関するメモ、バモイドオキ神、15歳になった男子生徒の自分史ノートなどが次々と発見される。危険な14歳……
義務だけはと強圧的なモリシマ(=本田直樹)、懐疑的で気弱なアキツ(=高田学)、正義感だが単純なサイトウ(=岡田美保・Wでみうら沙絵)、偏狭なサタケ(=三上和世)、得体の知れない格闘家サカイ(=我妻志保・Wで山本幸枝)。それぞれ普通の社会の人物を典型的に象徴するような人物たちが行う異常な行動……
最後にサバイバルナイフが発見される。責任逃れをする人たち。突然その現実を凶暴に突きつけるサカイ。憑かれたようにサカイの命じるままにナイフを受け取ってサカイを刺すアキツ。少年犯罪という現象の暗闇を、14歳に留めず、14歳化した成人たちの世界に投影させた悪夢の一場。
演技の稚拙さに較べて、舞台装置のリアリティが印象的であった。