演 目
いつまでも忘れないから
観劇日時/07.2.22
劇団名・公演/創立40周年記念 第23回拓大ミュージカル 札幌公演
脚本・作曲・音楽監督/土門裕之(教授)  
補作・全体指導/山田克己(助教授)
演出・演技指導/前田順二(講師)  
演出助手/片野真奈美(2年)
舞台美術指導・監督/小西修一(教授)・藤村健一(卒業生)
衣装・メーク指導/藤井綾子(講師)・川端美穂(助教授)
ダンス指導・振付/福沢良一(客員教授)・藤井綾子
ボイストレーナー/山本徹浄(講師)  
手話指導/鞍留麻衣(2年)
渉外・広報・総務指導/牧野誠一(教授)・岡健吾(専任講師)
照明・音響/河野哲男(オフイスカワノ)・富田雅之(ウィークエンド)
劇場/札幌教育文化会館大ホール

ステレオタイプで観念的な物語

 当日パンフレットの学長挨拶に「感動体験こそ教育の原点」とある。さらにこのミユージカルは大学の単位になっている。だからこの舞台は芸術表現というより、演劇という道具を使った教育であるとみなければならない。もちろん教育の道具であろうと芸術表現である以上、僕はその観点からしか観ない。
まず一番の問題は、脚本である。大人の社会のイジメからの自殺未遂、そして冥界からの蘇生は、幼くして死んだ弟が守り神になって勇気を出して生きていく……というストーリィだ。
ただしその流れは、余りにも単純で表面的だ。たとえばイジメられて自殺未遂した女が、弟の霊の守りによって救われるというのは余りにも皮相的だ。そんな簡単なものではないであろう。
それにあっさりとコンテストに優勝するというのも単純すぎて、葛藤がないのがシンデレラのお伽噺だ。
次にもったりとテンポのおそい演技が退屈する。そしてダンスの単純で切れの悪さ。さらに合唱の厚みの薄さ……極めつけは舞台装置の貧弱さだ。ものすごい大金が掛けられているようだが、具体と抽象の半端な曖昧さ、意味不明で安っぽい薄っぺらさ。
どこかに良いところはないかと観ていた。あった……彼女が優勝するというフアッションコンテストの審査の間にショーをやるのだが、華やかなダンスに混ざって、一輪車の曲乗り、バック転の交錯、ジャグジーの披露など、初歩的な技術だったが、これは意外に楽しめた。むしろこの場面を膨らましてパフォーマンスショーを上演した方が良かったか? などと皮肉を言いたくなる。