演 目
イナダ祭り
観劇日時/07.2.10
劇場/コンカリーニョ

 青・赤・白の3チームが2組ずつ日替わりで演じられるのは良いとして、1回だけ3チームが演じられ料金は同じだ。事前の周知が不徹底だから僕はチケットを買ってから知って非常に不愉快になった。
装置が僕の観た日は2組が同じセットを使っていた。
具象と抽象の曖昧な作りで手抜きのような感じだ。下手側は階段、橋で上手へ繋がり、そこからスロープで舞台へ降りる。これが@では家族の家であり、Aでは囚人たちの通う山道と監獄に遣い回しになるが安直な感じだ。

@ うさぎちゃん頑張ったね  作・演出/江田由紀浩
父親から愛されないと思い込んでいる青年、青年と言うのがちょっとひっかかるが、父親は兎を溺愛している。
男は、父親の関心を引くために可愛がっている兎を逃がし、兎の縫いぐるみで父に迫る。やがて父は逃げた兎を探して来て、兄は敗北する
母親は中国人で頓狂な女。新しいダンスと称してマジックショウの研究に狂進している。妹は精神が薄弱のようで、いい歳して昔に行った海水浴に憧れ水着姿だ。頭に満艦飾で不思議な髪飾り。異常な四人家族の物語。
 しばしば訪れる正体不明の男は遠慮がちに色んな人形を使って尋ねてくる。最後にETの人形で父のかつてのトラウマを兄に教える。
父は両親を失ったとき、女との情事でその場に居なかったのだが、そんなことで自殺するほど悩むだろうか? 最後は一家団欒の風景。全ては兄の夢だったのか? 最後の団欒だけが兄の夢だったのか? 父のトラウマがよく判らないのと、兄の執念が幼なすぎる。

A 慌テズニ急いで       作・演出/納谷真大
山中の監獄に収容されている男女6人は、毎日往復6時間もかかる場所で穴を掘り、掘った穴を埋め戻すという実りのない空虚な強制労働の日々だ。
一人が死んだ日、新しい女が新入して雰囲気が変わる。不毛な作業はやるべきじゃない、という画期的な考え。
今まで無意識に従っていた彼らに、衝撃を与えた彼女は脱走を持ちかける。死を待つだけより万一の可能性に賭けるべきだ、というのも彼らの常識を超えている。
彼らの葛藤が始まる。若い男はどうも最長年者囚人の息子らしい。新たな挑戦に賭ける一同……
看守の台詞が、マンガチックにテープで流されるのは面白い趣向だったが……
不毛な仕事や可能性を信じるなどという意味の、古今東西の箴言が煌びやかに台詞として語られるのは説教調で馴染めなかったが。