演 目
円舞曲
観劇日時/06.12.23
劇団名/ミュージカル劇団 もえぎ色
公演回数/第2回公演
脚本/ミュージカル劇団 もえぎ色
演出・振付・作詞・作曲/喜井萌希
選曲/Lynn
音響/太田真介
照明/前田ゆかり
舞台/上田知
衣装制作/喜井豊子
劇場/BLOCH

少女の悪夢

 「女達の嫉妬の物語」というキャチフレーズだったが、女だけであろうと男だけであろうと、はたまた男と女の話であろうと、要は人間の関係が語られその物語が進展していれば、芝居としてそれで良いわけだ。
戦略上、「女だけの物語」という作り方を標榜するのは分かるけれども、観る僕にとって、それは大して関係のない話だ。
 さて物語は、自殺を決意した少女がある意志によって操られるように、ミユージカルショウのグループに入る。そこで彼女は才能を発揮しグループのメンバーの協調もあって生きる望みを取り戻す。
 しかし一部メンバーの嫉妬により内部分裂を起こしたグループは、次々に同僚メンバーを抹殺して自滅して行く。ついに彼女は孤立して一人生き残る。
 屍累々の中で茫然自失にうずくまる彼女の印象は、僕の受けた感じでは、それは彼女の幻想だったのではないのか? このグループで起きたことのすべては彼女の意識の中で起きた一場の悪夢ではなかったのか?という感じに受け取られた。
そうだとすれば、深層意識を垣間見た面白い幻想としての物語であったと思われる。おそらくこの見方は、かなり好意的な見方であろう。
実際にはもっと幼稚であり単純であり、観念的であり、はっきり言って退屈だ。僕の見方が正しいとすれば、もっと整理し、きちんと標的を絞れば面白くなっていたのではないかと思われる。
 振り付けにも問題があると思われるが、一人を除いてダンスが単調なのと、全体に歌唱に厚味がないのがショウとしては致命的な欠陥だ。歌とダンスに魅力が薄いと、ミユージカルとしての存在価値が弱い。ミュージカルに的を絞った期待の集団だっただけに、いささか拍子抜けがして、これからを待ちたいというのが今回の舞台であった。
よくいわれることだが、台詞のやり取りが高まって歌唱になり、動きのエネルギーが高まってダンスという形での表現になるのがミユージカルの特性だと思われる。その意味ではこの集団の表現法は自然体であり、評価されるべき点であると思う。