演 目
センチメンタル
観劇日時/06.11.26
劇団名/Real I,s Production
公演回数/第4回演劇公演
脚本・演出/弦巻啓太
照明/和田研一
音響/橋本一生
衣装/小畑聡子
小道具/藤田ナツコ
フライヤー/間部加桐子
舞台製作/上田知
舞台監督/野村孝志
演出助手/岩崎智子
制作/漆原佳菜
プロデユーサー/ヨコヤマカツトシ
劇場/BLOCH

現実の反作用としての純愛物語

 純愛物語だ。小学校の熱血教師である男・時任秀深(=潮見太郎)の妻・静(=安福展子)は、売れない小説家であり不治の病で死ぬ。それから10年間、夫は亡妻の喪失が信じられず、妻の生きていた頃と全く同じ生活をしている。
 男は、転校生の母・島本頼子(=下河原由起子)である未亡人と、仄かな相愛となるが、亡妻を忘れられない彼は、彼女とその娘・由羽(=石崎真弓)である教え子の懇願にもかかわらず踏み切れない。
 ある日、火事で彼の家も延焼する。亡妻との思い出の品々もすっかり無くなって、やっと彼は踏み切れた。その間中、妻の亡霊は「貴方が幸せにならなければ、私は逝けない」と励まし続ける。
 このメインテーマに、近年再評価されてきた亡妻が書き残した絶筆の原稿を巡っての、業界内部のえげつないまでの争奪戦の一方の当事者として編集者・永野(=小林テルヲ)が登場する。この話は、よくあるパターンだけども、なかなかにリアリティがあって面白いエピソードだった。
 だがこの、現実には存在し得ないような、男の勝手なロマンと思われるような物語りが、果たしてあり得るんだろうかというような話だ。
 話は実に巧く創られているが、臆面もなく「センチメンタル」という題名を付けた一種の確信犯としての、男の純情物語を押し出したのであろう。
 恐らく現実に対する反作用とでもいうような現象なのかもしれない。多分、韓流ブームと言われた現象も、根は同じなのかもしれないが、こういう物語に強く感情移入する心情とは、はたして人畜無害なことなのであろうか? そんな余計な心配までしてしまう……
 他の出演者
 頼子の長男・武=三島祐樹 
二人の親友の編集者・八木園子=川瀬佳奈江
教頭・五所瓦恒房=大沼誠
同僚・広田計暁=かとうしゅうや