演 目
ご存知!怪傑黒紅葉
観劇日時/06.11.26
劇団名/劇団七転八起
公演回数/第10回公演
作・演出/わたなべたけし
舞台監督/藤田厚子
音響/市原晶・中井孝太郎
照明/橋正和
大道具/斎藤弘紀・増山明・斎藤和博・田島俊一
小道具/三原則和・たかはしひろこ
衣装・メイク/妹尾まゆみ・たかはしひろこ・山本寛子
会場/坂本学・落合亜由美 
音楽/一戸幹男
宣伝美術/田村仁
制作/前安井静香
劇場/コンカリーニョ

痛快娯楽活劇

  大江戸を騒がす義賊・黒紅葉。乞食芝居一座の夏次郎(=三原則和)と小雪(=山本寛子)は、その黒紅葉の芝居で大当たりをとっていた。
それに目を付けた江戸一番の大芝居・竜之丞一座は、この狂言を買いに来た。金に目がくらんだ夏次郎は承知するが、欲深い竜之丞(=市原晶)は宣伝と称して夏次郎一座の黒紅葉役者・小雪と、竜之丞一座の黒紅葉役者・梅吉(=坂本学)の両・黒紅葉対決よる決戦を企む。
 剣術に弱い梅吉のために、竜之丞は先生・石榴(=前安井静香)を付けるが、剣豪の先生は竜之丞の企みと梅吉の余りの弱さに嫌気を差して逃げ出してしまう。
 その代わりに雇った先生・紅蜘蛛(=落合亜由美)は妖術使いだった。一方、小雪は梅吉から離れた剣豪・石榴に弟子入りする。後で分かるが、この剣豪は紅蜘蛛一党の一味だったが、足を洗うつもりで離れたニヒルな剣豪・石榴、実は噂の黒紅葉だったのだ。
 夏次郎一座と竜之丞一座のイベント決戦の日、妖術を掛けられた黒紅葉は心を無くし、小雪に立ち向かう。危ふし小雪…
 貴重品として持っていた胡椒が、妖術を溶く鍵だったというナンセンスな大団円だが、この胡椒を手に入れる過程も巧く語られていて納得がいく仕掛けだ。
 話は在り来りだが、構成がきちんとしているから、大衆小説のように面白く観ていられる。演技も過不足なく、安心して楽しめる。とくに時代劇だからチャンバラが全編隈無く演じられるがそれが実に巧い。かなり訓練した成果であろう。娯楽劇として成功した2時間であった。 
ニヒルな剣豪は若い美人の女優が演じたが、これがほとんど台詞がないのに、チャンバラの腰が座っているのが印象的であった。
 何より感心したのは老若男女の劇団員たちが揃っていて、しかも粒ぞろいだったことである。失礼だが田舎の素人劇団だと侮っていたことを撤回せざるを得ない質の高い存在であった。
 その他、妹尾まゆみ・たかはしひろこ・藤田厚子。