演 目
夏の匂い
観劇日時/06.11.4
劇団名/弘前劇場
作・演出/長谷川孝治
舞台監督/野村眞仁
照明/中村昭一郎
舞台美術・音響/石橋はな
宣伝美術/デザイン工房エスパス
制作/弘前劇場
劇場/シアターZOO

生と死をめぐる群集劇

 ある地方の総合病院の病室。さまざまな患者がいて家族や友人が出入りし、看護師がいる。
病院とは常に死と隣り合わせの場所だ。病院に入院している患者の人々は自分の過去の生活と直面し、直近の未来としての死とも向かい合う。だが見た眼には特別に何も起こらない日常が流れる。
弘前劇場特有の臨場感溢れるリアリティの強い舞台装置と、大勢の様々な出演者の優劣のない演技力による現実場面が表現され展開される。
しかしこの淡々と流れる時間に生きる人々からは、その裏側に持っているさまざまな感情のマグマを強烈に感じとることが出来にくい。少なくとも僕にはそれが感じられない焦慮感に悩まされたのだ。表面上・言葉上だけのことしとか感じられないのだ。それは何故だろうか?
たとえ死に直面しているとしても、いやそれだからこそ生々しい生命のマグマが見え隠れするはずだと思うのだが……それが不思議だった。
そこが同じような表現を演じている『劇団・青年団』との最大の違いだと思うのだ。『劇団・青年団』の舞台からは、淡々と日常を送っているように見える人々の感情の奥に見え隠れする感情のマグマが強烈に感じられるのだから……
その差異を考えながらもリアリティに惹かれて観ていたが、今はそれが本当のリアリティだったのかと改めて思わざるを得ないのだ。
出演者
一丁田まさし・選挙ブローカー(=福士賢治)
秋山浩一・古本屋(=鈴木眞) 
秋山純子・秋山の妻(=濱野有希)
大野柾継・建設業(=山田百次)
中田零子・出版社(=鳴海まりか)
柳田百次郎・ブローカー見習い(=永井浩仁)
沢村恵子・建設作業員(=工藤早希子)
篠塚麻子・看護師(=斉藤蘭)
丹堂ミサ・学生(=櫻場由佳子)
高木賢三・不動産業(=長谷川等)
高木より・高木の妻(=青海衣央里)