演 目
ブルーバーズ・ブリーダーズ
観劇日時/06.10.21
劇団名/ヨーロッパ企画
公演回数/第21回公演
作・演出/上田誠
美術/酒井善史・井上能之
照明/松谷將弘
音響/上田誠・井上能之
小道具/永野宗典
衣装/山脇唯
舞台監督/水波流
その他大勢
劇場/コンカリーニョ

集団組織の喜劇化

 なぜか世間に青い鳥ブームが巻き起こった。すかさずある広告代理店がブロジェクトを組んで山奥へ青い鳥捕獲隊11名を繰り出す。
正規の捕獲隊5人(=石田剛太・酒井善史・土佐和成・松田暢子・山脇唯)の他、医療と食料の後方支援バイトの女の子が2人(=西村直子・富永茜)、管理職が2人(=部長の諏訪雅・マネジャーの中川晴樹)、技術職の下請けが2人(=永野宗典・本多力)。しかも隊員の内の2人はプロジェクトリーダーとサブリーダーという中間管理職だ。このメンバー構成からして既に、皮肉を込めて組織というものの何物かを連想させる。
つまり、そのプロジェクトの本来の目的と離れた部分に、肥大化した組織のための組織を作り上げて、無駄な仕事を増やして、一種の官僚組織ともいうべきものを養っていく。
彼らは、青い鳥捕獲という第一目的から外れて、余分で無駄な仕事を巡って、自分勝手なてんやわんやの大騒動が同時多発的に、エネルギッシュにしかも連続して息をつかせず繰り広げられる。
無目的・無秩序化された集団は、歯車の狂った社会構造と、無茶苦茶な人間関係をシンボライズして、大笑いの内に苦笑いがふっと湧き出る。
客観的にはバカな奴らだと笑ってみていられるが、自分たちがそうはならない、今の社会はそうではないと断言できないのが苦さを感じるところだ……
そしてラストシーンは、青い鳥捕獲という誤報というか、期待ででっち上げられた偽情報によって駆けつけた社員たち(=札幌在住の俳優たち3人)を追いかけるように、「無能のくせに独裁者である」とこの捕獲隊員たちに悪し様に罵られていた、当の社長がヘリコプターで来るシーン。
ただしこの肝心のバカ社長は現れず、空から轟音と共にヘリコプターの脚と縄梯子が降りて来るだけというバカバカしいというか人を喰ったというか如何にも演劇的で象徴的な場面ではあったけど……面白かった……
ヨーロッパ企画という劇団名には、何かヨーロッパに関するテーマを思わせて、全く関係のない話をするのもとぼけていて面白い。