演 目
Noel
観劇日時/06.10.13
劇団名/EC.DELTA
公演回数/第14回公演
脚本・演出・アクションコーディネート/こ〜へ〜 
舞台監督/岡井瞳
照明/相馬寛之
音響/大麻浩美
舞台/上田知
衣装/柾木里恵
その他大勢
劇場/メディアMIXホール

壮大なエネルギーの乱費

 冒頭の部分が無国籍・無時代のナンセンスで壮大なエネルギーの無駄遣いな芝居に見えて、どうもこの芝居を観に来て失敗したかなと思っていたが、殺陣の迫真力に見とれていた。
深味とリァリテイのない観念的な台詞の連続も退屈で、話も何かが複雑に絡み合って、しかもご都合主義に展開するので入り込めない。だがやがて、話は分かってみれば簡単だ。
ある架空の国の軍隊内での勢力争いの末、負けた方が北の地区に新しい宗教国家を建国し、傀儡(カイライ)の女教祖を立てて独裁国を作る。残った軍隊(=司令部が青い軍服・赤い軍服が実動隊)が新興国を武力で壊滅しようとするが権力闘争で内部分裂を起こす。
そして、その赤軍服の一人が、女教祖の純粋さに惹かれて相思相愛となる。かくして三巴の大混乱となり、大騒ぎの闘争劇となっていく。
ラストは、恋人二人だけがかろうじて生き残り、後は全滅する。だが新興国のナンバーツーは新しい女教祖を仕立てていずれかへと去る。必ずしもハッピーエンドとはならなかった。
この主題に大勢の人物が絡み、恋や友情や駆け引きや嫉妬・権力争いなどが入り乱れる。いま振り返ってみれば、物語としては中々に面白いのだ。
問題は無秩序な表現方法だ。若い人たちにはこういう方法が無理なく受け入れられるのだろう。この物語を別の表現で演じられたら、きっと僕も面白いと思っただろう。現に後半では、殺陣のエネルギーとスピードに引き込まれて観ていたのだった。
出演は、
 青い服の指導部 梅津賢一・稲葉健太・こ〜へ〜・丹治誉喬
 赤い軍服の兵隊 高橋完直・秋庭峰之・山村有樹子・見山恵理
 北の新興国 片桐直人・吉田真生
 傀儡の教祖 今井香織
 その侍女 岡井瞳
 現実の人 大沼誠
 北の国の亡霊たち 小池宣卓・小倉知広・安田心