演 目
ジプシー
観劇日時/06.9.30
劇団名/劇団新劇場・劇団にれ合同公演
作/横内謙介 
演出/山根義昭 
舞台美術/福田恭一
照明/赤山悟 
舞台監督/山田英晴
舞監助手/菊地敏一 
振付/鈴木里恵 
音響/広光洋一
小道具/朝田敏之 
衣装/岡本嚇子 
作曲/Yuki
楽器指導/増子捷二・柳芳紀
劇場/やまびこ座

憧れを夢見た女の話

 これは寓話劇だ。あるいは主人公の若妻が見た一夜の夢かも知れない……
若い夫婦(=徳田敬二・栗原聡美)が買った工事中のマンションの現場を二人は、真夜中に無断で訪れる。そこにはジプシーと称する大家族の集団が住み着いていた。
彼ら(祖父=柴山良宏・タネ=W宮野恭子 蜂谷千枝・長男=春日功夫・その妻=五十嵐利花・その長男=W槇文彦 中井清史・その妻=W吉田輝志子 丹美幸・次男=W橋本浩希 神山元気・その=妻W北澤那美子 三原あゆみ・ひ孫=W武田有加 竹内櫻)は自由を追求する家族だ。
駆けつけた工事関係者と工事現場の人(新井田広・朝田敏之・斎藤誠治・城島イケル・小川貴大・鈴木英之)たちの中の一人と、肝心のこの若妻自身がこの集団に憧れてシンパシーをもってしまう。この渡り鳥職人(=朝田敏之)が印象に残った。
パンフレットに、家族愛の物語と書いてあったが確かにその要素はあるにしても本筋はそこにはない。閉塞感のドン詰まりにある現代人の持つ一つの夢物語だ。
真っ向から抵抗していた夫が最後にこの集団に付いて行こうとする。しかしその夫も何気なく戻ってくると、妻もむしろそれをホッとした感じで迎える。それが若妻の一場の夢である所以であろうか……
「新劇場」も「にれ」も、やはり長年やっているとそれなりに見せる芝居を創ってきたようだ。
一つ疑問なのは不思議集団の衣装だ。テキストの指定なのかどうかは分からないが、あれではまるで問題ある邪教集団みたいな印象だ。この芝居はむしろこの集団を肯定している訳だから、誤解を招くような表現は避けた方がいいのではないかしらと思われる。