演 目
そうべえ まっくろけのけ
観劇日時/06.9.20
劇団名/劇団 京芸
公演回数/深川おやこ劇場 20周年記念公演
脚本・演出/つげ くわえ 
スタッフは記載がないので不明
劇場/深川市文化交流ホール み・らい

訓練された操作技術

 少年軽業師「そうべえ」が夢ばかり大きくてまったく努力しないいい加減な男の子だったのが、ひょんなことで月の世界へ出かけることになるが、宇宙も世間並みの大騒動。同行の藪医者や山伏と何時の間にか協力して笑いの宇宙に戻らせるという話……
ここで引っかかるのは、なぜ時代劇なのかということ。軽業師というのは月の世界へ行くのに適切な技術を持っているからだというのは分かるが、どうやら江戸時代らしいがその必然性が分からない。
さらに同行の医者と山伏というのも分からない。なぜ医者であり山伏なのか? しかもまともでない医者であり山伏なのだ。しいて考えれば、そのまともでないところに意味があるのかもしれないが……例えば『虹の彼方に』のライオン・かかし・ブリキの人形にはそれぞれ分かり易い意味がある。桃太郎の犬・猿・雉にもちゃんとした意味がある。この医者と山伏の意味は何なにか? はっきりとはしない。
使者である月のうさぎや医者・山伏らのギャグはさすがに手馴れたもので可笑しいが、いささかくどい気がする。関西風のねちっこさがちょっともたれる感じもする。爽やかじゃないのだ。
大きな布を縦横無尽に使ったシーンと、遠見の人形を使った月へ昇る場面は文句なしに巧い。だけど豆の種を蒔いてその巨大な蔓を昇るのは、『ジャックと豆の木』そのものだ。
舞台の中幕辺りに奥との境を作ったので、演技スペースが前半分だけしか使ってないような雰囲気で、もったいない気がする。
それに一番困ったのはこの「そうべえ」がどう見ても少年には見えないことだ。最近普通の舞台でも子供を大人の俳優が演じて不自然ではないことがほとんどなのだけども、今日の舞台は児童演劇なのに主役の少年がちっとも少年ではなく、小父さんなので困惑した。なぜなのだろうか……

出演/山中春彦・新谷智史・森口由美子・小池貴史・阿部達雄・竹橋団・竹村省吾・奥村和子・赤土綾子・早見栄子