演 目
遊戯病棟
観劇日時/06.6.16
劇団名/劇団一揆
作・演出・舞台監督/橋田志乃舞
演出助手/橋場輝
舞台監督助手/碓氷太以良
その他 出演多数のため省略
劇場/シアターZOO

表面的なシュプレヒコール

 ある官営のホールが、今流行りの民間委託になる。使用料が値上げされると感じて反対する劇団「遊戯病棟」の劇団員たち。説得のために教育委員会の職員が、使命を帯びてやってくる。
仮面を被って閉じこもる役人たちと、溌剌と生きる劇団員たちとの対比。劇団員たちの熱意に感化されて、逆に虜になる職員。最後に劇団員になってしまう職員。
 しかしこれは余りにも教条的で表面的だ。奥行きがないから理想を教え諭してくれているような押し付けがましい嫌味だけが残る。シュプレヒコールを聞かされているような感じである。
民間委託が使用料値上げを前提にしているのも事実誤認である。財政困難が、使用料値上げと民間委託という二つの局面に現れたのであって、民間委託が使用料値上げの原因ではない。むしろ民間委託によって合理的な費用削減に持っていくということが大事なのだ。それを民間委託が悪事のように言われるのは逆であろう。
 『遊戯病棟』という魅力的なタイトルと裏腹な単純で独断的な内容はまったく期待を裏切った。正面を切って臭い演技をするのも耐えがたい。
 前回のあの『マザー』の、奥行きがあってリアリテイの強い話の展開と迫真の演技で魅了した『一揆』とは、まったく違った舞台に強い戸惑いを覚えたのであった。