演 目
踊りにいくぜ!! Vol.7/公開選考会
観劇日時/06.6.7
JCDN(日本コンテンポラリィダンスネットワーク)
劇場/琴似パトス

素人が観るべきではないのか?

 10月に行われる全国パフォーマンススペース巡回プロジェクト札幌本公演のための地区代表選考会である。
それを一般公開したものであるが、コンテンポラリイダンスのフアンとして、舞台自体は観ていて面白いのだが、上演後に行われた、「クリティカルレスポンスプロセス」というのは正直苦痛であった。
これは一口に言って、アーテストを育てようという意図による観客の助言システムなのだが、システムが判り難い上に、われわれ素人から言わすと欲求不満が残ってしまう。つまり言いたいことが言えないのだ。僕たちは単純に感想だけが言いたいのであって、僕は観客の単純な感想がアーテストを育てると素朴に思っている。
というわけで、4つの舞台についての感想を書くのだが、その「クリティカルレスポンスプロセス」に参加したので、かなりその人たちの発言に影響されていると思う。ただ審査員と言う方が5人いて、その人たちはあらかじめ出演者のコメントというものを読んでいるので、逆に言えば審査員たちは有利な条件というか先入観で観ているともいえるのだから、ハンディはしようがないであろうか……

1、二度わらうほどおかしくもない/西村芳美ソロ
砂嵐のテレビを観ている孤独な女。笑う笑う。のたうちまわって笑う。転げ回る。おそらく更に孤独感が増す。
という設定だそうだ。しかし実際に舞台を観ていてそういう感じはしなかった。後付けの理屈に見える。ただし切れのよい身体の動きは印象的だった。

2、Drマシューリモの休日/ 森嶋拓ソロ
小道具を使ったコミックダンス。番傘、トンカチ、風呂敷、トングの4種類。物語性が強く、分かり易いので楽しめる。Drマシューリモの休日はこういう気分なのだろうなという楽しい想像ができる。

3、ペットボトル/細木美穂・斉藤麻衣子デュオ
ペットボトルを中にした二人の関係を描く。これも説明を聞かないと判らない。実際の舞台の感想では、最初ペットボトルが介在しながら、二人の関係が疎遠に見え、中ごろから徐々に二人の関係の結びつきが強くなっていくのが判ってそのパッションが印象的だったのだが、審査員の感想では、最初の疎遠に見える部分が却って二人の関係性が強く感じられ、強く見えるシーンでは技術的に粗雑で逆に薄く見えるということだった。ホントか? と疑問だ。
確かに技術的には未完成であるが、僕はそのパッションが魅力的であったのだ。
以前、香月人美というパフオーマーが、己のパッションのみで恣意的に体を動かし、それが観客にまったく伝わらなかったことを思い出して、表現の難しさを再認識した。このデュオと香月人美のパフォーマンスが、どう違うのであろうかと考えさせられてしまった。

4、カケラ/福村まりソロ
 以前に上演された作品の一部抜粋。長編の一部分を独立させたために、作為が見えにくくなってしまったのが残念。本領を発揮していないようだ。本編を観た僕にはさすがだな、という思いはあるが、これが初見の人は確かに福村の核心が見え難いであろうとは思う。
この公演が20分という制限があるのでこういう形になったそうで、練り直すということであった。