演 目
暖かい檻の中
観劇日時/06.5.26
劇団名/演劇集合体マキニュウム
公演回数/WakWak公演06
作・演出/槇文彦
舞台美術/濱道俊介 
音響効果/中井孝太郎
音響操作/山本沙也加
照明/山内慎介
舞台監督/吉江和子
出演/浅野友寿・くどうあつみ・斉藤玲史・金輪汐里
   橋本浩希・村井亜里沙・渡辺綾子・佐藤さなえ
   山内久美子・尾方聖惠 
劇場/レッドベリースタジオ

暴露された日常

 ある場所に、偶然のように10人の男女が集まってくる。彼らは全員自分自身の意思でここに来たわけではない。そして彼らは連れのある者を除いて互いに見知らぬ人たちであり、閉じ込められた理由が分からない。
実は、宇宙人が彼らを誘拐しようとしたようだ。やがて宇宙人は、彼ら10人の隠された日常の虚構を暴き、現在の生活が無意味な事を暴露して同行を迫るが、いざとなると彼ら10人も、今の生活から知らない宇宙へなど行きたくはない。平凡な人生を送る彼らにとって当然の話である。
「暖かい檻」とは平凡な日常なのか、それとも保障されたと称する宇宙世界なのか、おそらくどっちもどっち、それぞれなのか?
最後に時間切れになった宇宙人は、自らの意思で同行する意思を表明した女を一人だけ連れて去っていく。残った彼らはまた倦怠の日常へと戻って行く。
SFっぽい荒唐無稽な設定で、平凡人の空虚な人生が顕わになるという話は、理由の判らないその人たちの狼狽ぶりが滑稽でもあり、その過程も面白く見せる。
狭い会場で、しかも舞台経験の少ない演技者たちの芝居としては、自然でリアリティのある表現は納得がいく舞台であった。
だが、宇宙人とのコミュニケーションがスピーカーを通してだけというのは面白くない。一行中の一人の中学生が宇宙人のスパイだったという設定があったのだから、それをうまく使って内部分裂を起こすか内部抗争を描くともっと複雑になって演劇的に面白くなっていただろう。スピーカーを通してだけの対話というのは、安易の感じが強く面白さが半減したのが残念。