演 目
ロミオとジュリエット
観劇日時/06.4.24
劇団名/AND+亀井健
インスピレーション/ウイリアム・シェイクスピア
作・演出/亀井健
照明/上村範康 
ヘアメイク/佐々木恭代・ナッカム
音狂/ワタナベヨオコ
衣装/小原綾子 
小道具/ワタナベヨオコ・矢野杏子
美術/AND
制作/サクラバリナ
宣伝美術/山田マサル
強力/吉田奈穂子・岡村智明
企画・製作/AND・札幌演劇人育成会
劇場/ことにパトス

必ずしも成功しなかった大改変

 11年まえ、ロミオの父・青木武雄(=山田まさる)は幼いジュリエット・伊藤三月(=小原綾子)を陵辱した。そのためにこの地に居られなくなったロミオ・青木武(=三浦徹也)はある街でしがない不動産屋の営業社員になっていた。
そこへ資産家の箱入り娘・伊藤三月が独立するために実家を出て、部屋を探しに来る。事情を知らずに知り合った武・ロミオと三月・ジュリエット。
やがて三月を陵辱した真犯人は、三月の従兄妹で幼馴染の伊藤純(=八戸卓哉)であることがわかる。それを知った武は純を刺殺する。追われる武を慕う三月に、牧師(=亀井健)は24時間だけ仮死する秘薬を授ける。そうとは知らぬ武は、三月が自殺をしたと思い込み、後追い自殺を覚悟する。
三月の葬儀の準備が整った深夜の教会で、仮死の三月を本当に死んだと信じた武は手に入れた拳銃で己の頭を撃つ。この辺は原作通りだ。
ラストは冤罪の晴れた父・武雄が、認知障害になった母親・久美子(=矢野杏子)に朝食を食べさせながら、これは三月が作った料理だから美味しいだろうと語りかける。ジュリエットは生き残ったのか? または武の父はせめて三月には生きていて欲しかったという願望の幻影だったのか?  
原作の設定と新たに作った現代的設定が水と油で巧く溶け合わず抵抗感が強い。ロミオとジュリエットの相愛が規定のこととはいえ、この二人が観客に共感させる魅力に乏しい。
オーバーアクションの演技と衣装・メークがうるさすぎる。一瞬のワンシーンのためのドラムセットが大きく場所をとって邪魔だ、などが気になる。
長流3平(=武の同僚の営業社員)と、長睦(=三月の乳母・フジ)のコメディリリーフが、さすがと思わせる達者さで印象的だ。