演 目
ロミオとジュリエット
観劇日時/06.4.23
劇団名/苗穂WEST SIDE+川尻恵太
作/W・シェイクスピア
脚本・演出 /川尻恵太
プロデューサー/前田ゆりか
舞台美術/上田知
照明/和田研一
サウンドデザイン/Lynn
音響オペレート/大津充敬
ヘアメイク/今井由架理 その他
企画・製作/苗穂聖ロイヤル歌劇団
札幌演劇人育成委員会
劇場/BLOCH

現代化した純愛悲劇

 いまさら原作をそのまま上演するのは、教養主義で物足りなく思うのは当然であろう。この舞台もいろいろな仕掛けを作った。
両家は仲がいい。ロミオ(=小林エレキ)とジュリエット(=今井香織)は互いに無視している。両家にはロミオの弟・ヒデ(鶴岡浩明)と、ジュリエットの妹・ロザンナ(=伊藤若菜)がいてこの二人は相思相愛である。両家に関わる若い人たちはならず者たちだ。これらが入り乱れて混乱する。
ヒデとロザンナがロミオとジュリエットの役柄を担っているのかもしれないが、この二人は深く悩まない能天気者だ。
村上ROCKが、小心な三下やくざの悲哀を巧く演じて印象に残る。オーバーアクションと感情の肉体的暴発とのギリギリの表現だが、的を射たようだ。飄々としてコミカルな牧師(=齊藤雅彰)は、全体を枠に嵌め客観の目を注ぐ役目を果たした。
純愛の悲劇である不条理劇を、両家の不仲というよりも二人の自意識過剰と表面の軽さという現代的な両面から見直してみたという視点と、やくざの抗争という別の面からの見直しという改作は、混沌としながらもある面白さが表現されたと思われる。
大勢の登場人物は割愛する。村上と齊藤のほかにも三島祐樹・佐藤真一などが印象に残った。